「薬の町」として知られる大阪・道修町(どしょうまち)に本社を構える小林製薬は、体を冷やす「熱さまシート」、のどを殺菌・消毒する「のどぬ~るスプレー」などユニークな名称とアイデアの商品をいくつも世に送り出してきた。小林一雅(かずまさ)会長(81)は産経新聞のインタビューに応じ、新型コロナウイルス禍で求められる商品をスピーディーに出す必要があると語った。
(聞き手 藤原章裕)
--コロナ禍で消費者意識の変化は?
「消費者の除菌意識は高まったと思います。インフルエンザが例年ほどはやっていないのは、皆がマスクをしているからとも考えられ、新しい社会現象でしょう。消費者からは、アルコール消毒で手が荒れるので、荒れにくい商品がほしいなどの声をお聞きします。こうした商品は既に発売しており、売れ行きも好調です。求められる商品をスピーディーに出し、早くお客さまのニーズに合わせることが必要です」
--「熱さまシート」などは訪日中国人客に「神薬(かみやく)」として人気だったが、コロナ禍でインバウンド(訪日外国人客)需要が消滅した
「国内売上高に占めるインバウンド割合は前年比7%減少しました。中国や韓国では現地のインターネット通販で購入いただいているが、前年の訪日客の購入額と比べればわずかです。本格的にインバウンドが戻るのは令和4年でしょう」
--東京一極集中が見直されつつある。大阪に本社を置くメリットは
「(かつて)東京に移るという話もありましたが、十分に検討した結果、大阪に残るべきだと考えました。小林製薬の発祥は『薬の町』といわれる道修町です。カッコつけず、お客さんに分かりやすい商品名やパッケージにこだわる大阪らしい本音の商売を続けたいですし、大阪は需要の大きいアジアに近いという地の利もあります」
--学生時代にはフィギュアスケートの選手として国体に出場した