《独自》「核の傘」日米共同声明に明記へ 首脳会談に向け、政府調整

(左から)菅義偉首相、バイデン米前副大統領(AP)
(左から)菅義偉首相、バイデン米前副大統領(AP)

 菅義偉(すが・よしひで)首相と米大統領就任を確実にした民主党のバイデン前副大統領との初の首脳会談で、日本政府が両首脳の共同声明に米国の核兵器で日本の防衛に当たることを明記するよう求める方向で調整に入ったことが3日、分かった。バイデン氏が1月20日に大統領に就任すれば米政権側との協議に入る。複数の政府関係者が明らかにした。

 新型コロナウイルス感染拡大などで国際情勢が不安定になっていることを踏まえ、米国による「核の傘」の提供を明確にする狙いがある。正式就任前のバイデン陣営との外交交渉は違法となるため、日本側は就任式後に首相の訪米に向けて協議し、共同声明の文言調整も進めたい考えだ。

 共同声明をめぐっては、安倍晋三前首相とトランプ米大統領との平成29年2月の初会談で、米国の「核および通常戦力」による日本防衛への関与を明記した。米国が核の脅威で日本への攻撃を防ぐ「拡大核抑止」を提供することが盛り込まれたのは、昭和50(1975)年の三木武夫首相(当時)とフォード大統領(同)の会談以来だった。

 日本政府内には平成29年の共同声明発表後、当面は拡大核抑止の確認は必要ないとの見方もあった。しかし、バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権には核兵器の先制不使用を検討する動きがあった。米国が核兵器を先制使用しないのであれば、中国や北朝鮮は米国の核攻撃を警戒せず、通常兵器で周辺国を攻撃できる。

 日本政府内にはバイデン氏の大統領就任が確実になったことで、オバマ政権の再来を懸念する声もある。再び共同声明に「核」の明記を求めるのは、新政権にくぎを刺す意味もある。

 首相は早期訪米を実現したい考えで、昨年12月23日収録のテレビ番組では「2月いっぱいが一つの目安」と語っていた。ただ、バイデン氏周辺は新型コロナ感染予防の観点から外国首脳との早期会談に消極的とされ、茂木敏充外相が2月にも訪米して米側の感触を探る方針だ。