【オリパラ×デザイン】(下)公式ポスター制作の金澤翔子さん 「翔」は勇気が出る文字 - 産経ニュース

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【オリパラ×デザイン】(下)公式ポスター制作の金澤翔子さん 「翔」は勇気が出る文字

【オリパラ×デザイン】(下)公式ポスター制作の金澤翔子さん 「翔」は勇気が出る文字
【オリパラ×デザイン】(下)公式ポスター制作の金澤翔子さん 「翔」は勇気が出る文字
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 今夏開催予定の東京五輪・パラリンピックでは、大会を彩る公式ポスターが20点、用意されている。国内外の一流アーティストが腕をふるったが、その1人にダウン症の書家、金澤翔子さん(35)が名を連ねている。金澤さんが作品に選んだのは「翔」の1文字。翔子さんは年始にあたり、母親の泰子さん(77)と2人でインタビューに応じ、「『翔』は頑張ろうと勇気が出る文字」と笑顔を見せた。泰子さんは娘の気持ちを代弁しながら、「翔子には素晴らしいことが次々と起こる」と語った。(飯嶋彩希)

 --「翔」の文字はどうやって決め、どんな思いを込めたのか

 泰子さん「もうそれしかないといった感じ。2人で話して決めたが、考えることもなく即決だった。世界に『飛び立とう』という願いを込めている。翔子の『翔』でもあるけれど、そこはあまり関係ない」

 翔子さん「『翔』は頑張ろうと勇気が出る文字。みんなが五輪に勝つように、心を込めて書いた。見た人が元気になるよう、(書で)パワーを送ります。翔子パワーです」

 --他の作品と違う点は

 泰子さん「翔子の書は一発書きに意味があると思う。自宅で書いたが、これも一発書き。ポスターの規格が縦長なので、本当は横に広がった方が字のバランスがいいが、サイズに合わせて縦長に書くことになった」

 --公式ポスターを書くに当たっての思いは

 泰子さん「機会をいただけたのは大変光栄なこと。翔子には素晴らしいことが次々と起こる。法隆寺や延暦寺、厳島神社など全国の神社仏閣で個展や奉納揮毫(きごう)をさせていただいた。ニューヨークなど海外でも個展をさせてもらい、書家が生涯で一度あるかないかの経験をいくつもしている。翔子の生き方がいいのかな。神様のご加護があるのではと本当に思う」

 --コロナ禍で何が変わったか

 泰子さん「2月からほとんどの仕事はキャンセルになり、私はすべての時間を翔子と費やした。毎日近所を一緒に散歩するなど楽しい。そういう意味ではコロナは休暇になった。生まれて初めて親子で向き合えた時間だったかもしれない。イベントで3、4回しか筆を握っていない」

 翔子さん「コロナに『休め』と言われた気がする」

 --最近の暮らしぶりは

 泰子さん「翔子は家から徒歩数分の所にアパートの部屋を借りて、一人暮らし。こちらの家には帰ってこない。最初は心配だったが、商店街や地元の人たちが『翔子ちゃん』と話しかけて、街ぐるみで見守ってくれる。みんなに愛されて、みんなを愛して。翔子は一人でも生きていけると思った」

 翔子さん「ユーチューバーデビューした。料理など、たくさんの動画を撮りたい。英語の勉強もしている」

 --障害について

 泰子さん「翔子は競争とはかけ離れた所に心がある。生まれたとき、子供のころは障害があることはマイナスでしかないと強く思っていた。毎日絶望していた。でも、あの苦しみがあったから今がある。苦しんだことが回りまわって良い方に進んだ。社会の中に入れなくても、障害者の良さを生かして生きていける。翔子がそう教えてくれた」

 --コロナ禍で五輪パラ開催は不透明さもある

 翔子さん「コロナに『人を殺しちゃいけない』と言ってます。コロナなんかに負けないで、やっちゃえと思います。コロナに勝つ、五輪に勝つ、人生に勝つ」

 ■かなざわ・しょうこ 昭和60年生まれ。東京都出身。5歳から母、泰子さんの指導で書を始める。20歳で個展を開催。書家として国内外を舞台に活躍している。

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