代替肉の需要増に畜産業界が危機感、敵対する自然派食品の支持者たちと手を組んだ理由

CCFは20年2月、スーパーボウルで流されるのテレビCMも制作した。スペリング・コンテストに出場している少女が、「methylcellulose(メチルセルロース)」をつづるよう言われて戸惑っている。メチルセルロースとは何かと少女が尋ねると、司会者はこう答える。「便通を促す化学的な緩下剤で、人工肉にも使われています」

植物由来の代替肉はなぜ非難されるか

フードムーブメントを率いるリーダーのなかには、植物由来の代替肉はまだ新しく、安全性や有効性が実証されていないことを理由に反対する人もいる。フードムーブメントの第一人者であるジャーナリストのマイケル・ポーランの言葉に「曽祖母が食べ物とみなさないものは食べてはならない」というものがあるが、この基準に当てはめれば、インポッシブル・バーガーのみならずかなりの食品が除外されてしまうだろう。

ほかにも、誕生まもない代替肉を拒絶する理由に、メーカーが営利企業であり、製法が特許で保護されている点を挙げる人もいるようだ。牛肉擁護派の環境団体Soil4Climateの創設者セス・イツカンは、インポッシブル・フーズは社名を「インポッシブル・パテント(特許)」に改めるべきだとしている。

それ以外にも、代替肉は遺伝子組み換え大豆を由来とする原材料を含んでいたり、遺伝子組み換えイースト菌で増殖されたりしているから好ましくない、という意見もある。17年には、遺伝子組み換え反対を訴える環境保護団体のETCグループとフレンズ・オブ・ジ・アース(FoE)がインポッシブル・フーズに対して要請を出し、米食品医薬品局(FDA)の安全性の追加検査を経て規制が強化されるまでは、自社製バーガーの販売を中止するよう求めたのだ。両団体はインポッシブル・フーズが動物福祉を巡る懸念に乗じて、安全とは言い切れない商品を売ろうとしていると非難している。

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一方で、植物由来の代替肉がもつ環境面のメリットは、そう簡単に退けることはできない。米国における通常の肥育場で飼育される牛は、植物由来肉と比較すると食用たんぱく質1ポンドあたり20倍の温室効果ガスを排出する。その大半は、牛がげっぷしたときに出るメタンガスだ。

牧草を食べている牛は、さらに環境に悪い。というのも、市場に出荷できる体重まで成長するにはより長い時間がかかるので、1ポンドあたりのメタンガス排出量がさらに多いのである。

それゆえ、インポッシブル・バーガーのカーボンフットプリントは、本物の牛肉を使ったバーガーと比べて約90%も少ないと、インポッシブル・フーズは主張する。加えて、水の使用量は87%、利用する土地の面積は96%も少ないという。

ビヨンド・ミート製のビヨンド・バーガーに関するライフサイクルアセスメントでも、同様の利点が示されている。米国産牛肉を使ったバーガーと比べると、温室効果ガスの排出量は90%、必要な電力量は46%、水の使用量は99%、土地は93%も少なくて済むという。

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