砂丘を超えて鳥取トップ観光地に化けた「ゲゲゲ」の進化

 水木しげるロードの発信には、テレビ番組が大きく寄与した。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」はほぼ10年おきに繰り返し放送された。決定的だったのは22年にNHKが水木さん夫婦を題材に制作した連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」。この年の入り込み客数は前年を200万人以上上回る372万人にも達した。「ファン層が女性に広がった。観光バスで女性客がどんどんやってきた」と木村さん。

 その翌年には、境港市から西に約60キロ離れた出雲大社(島根県出雲市)で「平成の大遷宮」があり、その効果により2年連続で300万人を突破し、人気は不動のものとなった。

 15年に開館した同記念館の庄司行男館長は「朝の連ドラや大河ドラマ効果で観光客が増える現象はよくある。しかし、受け入れ側の態勢が整っていないと一時的な現象として客は途絶える。その点、水木しげるロードは受け入れ態勢ができていた」と語る。

 同記念館の開館や、妖怪像とは別に「水木しげる先生執筆中」などのブロンズ像を境港駅前に設置するなど、ロードは年々充実していった。

 さらに、市は25年から5年間かけてリニューアル事業に着手。歩道を以前の2倍の6メートルに拡幅する一方、車道は一方通行にして快適に歩ける環境を整備。妖怪ブロンズ像をグループ分けして再配置し、夜には妖怪の影絵を道路に映し出す演出を始めて夜の集客も目指した。

ゲタ飛ばし大会、妖怪検定も

 民間では、市観光協会などが17年に妖怪ブロンズ像を増やすためのスポンサー制度を導入。これまでに58体が、スポンサーの名前とともにロードに設置されている。また、米子-境港を結ぶJR境線を走る列車は「鬼太郎列車」として、鬼太郎のキャラクターのイラストが描かれている。地元の商工会議所や青年会議所などが音頭をとってロードを舞台にイベントを繰り広げるようになり、「ゲゲゲの鬼太郎ゲタ飛ばし大会」「妖怪検定」「土曜夜市」などが継続して実施されるようになった。

 行政がハードを整備し、民間がソフト面で充実を図る。鳥取県の平井伸治知事は「行政と商店街が一緒に造ってきた。水木しげるロードはふるさと的な温かさのあるテーマパーク」という。

 とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大の直撃を受け、昨年12月20日現在で来客は約94万6500人と100万人を割り込んだ。このため同27日には「4000万人突破セレモニー」「水木しげるロード大感謝祭」を同時開催して今年への弾みをつけた。

 伊達市長は「集客力を回復させるためには民間の力、支援が大事」とし、庄司館長は「出雲大社、松江、境港の広域観光で観光客を呼び込みたい」。新型コロナ禍をどう乗り越えるか、今年は正念場だ。

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