NTT、2025年大阪・関西万博で6G展開へ 米国、中国との開発競争で日本の先手狙う 

NTT西日本の小林充佳社長

 NTTグループが2025年大阪・関西万博の会場で、第5世代(5G)移動通信システムの次世代規格「6G」の展開を検討していることが31日、明らかになった。各国が30年ごろの実用化を目指す6Gは、5Gの「高速大容量」「低遅延」といった性能が大幅に強化され、通信範囲が海や宇宙に広がることも期待される。NTTは万博を足がかりに、5Gでは米国や中国の後手に回った国際開発競争の主導権を、6Gでは日本に取り戻す考えだ。(黒川信雄)

 NTT西日本の小林充佳社長が産経新聞のインタビューに明らかにした。小林氏は5年後の万博開催時には6Gの基本技術が確立されているとし、一定のエリアを「ショーケース」(小林氏)のように、実際に6Gを活用できるようにする構想を表明。「これはすごい、といえるものでないと万博にならない」と述べ、実現に意欲を示した。

 6Gの技術仕様は現時点では国際的に確定していないが、NTTドコモによれば、毎秒100ギガビット以上の超高速・大容量(5Gは最大10ギガビット)▽1平方キロあたり1千万個のデバイス(機器)が接続可能(5Gは100万個)▽空、海、宇宙への通信エリアの拡張-などの実現が期待できる。

 具体的には、身につける「ウエアラブル端末」を使って音や映像、触感、匂いなどの感覚が得られる「多感通信」や、相手の表情の変化を読み取り、きめ細かなサービスを提供できるロボット、多数の「空飛ぶ車」を自在にコントロールするサービスが可能になる。

 NTTは20年12月に完全子会社化したドコモと一体で、6Gに必要な、移動通信と固定通信の融合を加速させる方針だ。万博では、ネットワークからスマートフォンなどの端末まで、すべての情報処理を光信号で行う次世代通信システムの公開を計画しており、6Gもこのシステムを活用する見通しだ。

 新たな高速通信技術の導入は、今後、経済・産業の発展のカギを握るとみられている。

 5Gに関しては、通信機器市場で先行した中国の存在感が高まり、米国との間で激しい対立を招いた。6Gはすでに米国や中国、北欧が開発を進めており、米トランプ政権が19年、6G用の通信帯域を開放するなど、国際市場で先手を奪う姿勢を鮮明にしている。

 日本政府は20年12月に閣議決定した大阪・関西万博の「基本方針」で、万博で最新のデジタル技術を実証し、社会への普及を進めるとした。NTTが万博で6Gの展開に成功すれば、国際的な先行事例になる可能性がある。

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