五輪夢舞台へ成長信じ フェンシング・鈴木穂波さん(26)静岡・沼津出身

絶対逃げたくない

 昨年9月、全日本フェンシング選手権が唯一開催された。6月に練習を再開した鈴木は就活しながらトレーニングに励み、「コロナ前よりもいい状態」で優勝を目標に臨んだ。だが2回戦で、優勝したリオデジャネイロ五輪代表で34歳の佐藤希望(のぞみ)に完敗した。悔しかったが、それ以上に戦術ミスを悔やんだ。

 フェンシングは動きの速さやフィジカルの強さ以上に「心理戦がメインのスポーツ」と鈴木。1セット目の組み立てに失敗し、ポイントで追い込まれたことを「敗因」に挙げ、佐藤に「見習うべき点がいっぱいあり、勉強になった」と収穫を口にする。

 国内ランキング8位(昨年4月現在)の鈴木が東京五輪へ出場するには、3月に予定されるワールドカップ(W杯)で結果を残さなければならない。「正直、厳しい」と認識し、見据える先は24年パリ、28年ロサンゼルス。国際大会を数多く経験し「脂の乗ったいい時かなと考えている」と力を込める。とはいえ、決して東京を諦めたわけではない。「チャンスがある限り、勝手にやめるのはもったいない。常に全力を尽くして過ごしたい」と覚悟を示す。まずは実現できていない国際大会の決勝トーナメント進出という壁を突破したいとW杯をにらむ。

 今や五輪は鈴木だけでなく、勤務先の夢にもなっている。「絶対に逃げたくないし、負けたくない。会社の人たちと一緒に夢をかなえたいと思っている。成し遂げられれば、地域の方たちも一緒に喜んでくれて、つながっていくと思っています」。そして、目を輝かせてこう話す。「いろんな経験をして、今の自分をつくってくれたのはほぼフェンシング。だからフェンシングを広め、楽しさを子供たちに教えたい」

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