コロナ禍の世界 21世紀の岐路を、冷静に 編集局長・井口文彦(1/2ページ) - 産経ニュース

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コロナ禍の世界 21世紀の岐路を、冷静に 編集局長・井口文彦

2020年12月12日、米ワシントンで、大統領選で不正があったと訴え、デモを行うトランプ大統領の支持者ら(UPI=共同)
2020年12月12日、米ワシントンで、大統領選で不正があったと訴え、デモを行うトランプ大統領の支持者ら(UPI=共同)

 疫病の怖さは毒性だけでなく、社会の共通基盤を壊し、時代を変えてしまう破壊力にあります。フランスの経済学者、ジャック・アタリ氏はパリの三井美奈特派員のインタビューにこう語っています。

 《疫病は社会のシステムを変える力を持っている。欧州大陸では疫病が猛威をふるう度、社会に根付いていた信仰や支配のシステムが信用を失い、古い支配者に代わり新たな権威が正当性を獲得した》

 《欧州では14世紀、ペストの流行で人口の3分の1が死にました。支配層だった宗教的権威=カトリック教会は人々の命を救えなかったばかりか、死の意味すら示せなかった。教会の権威は衰え、聖職者に代わって(強制隔離で感染を終息させた)警察が力を持つようになりました》

 《18世紀末には医師が警察にとって代わった。疫病が近代国家を生んだのだ。迷信や宗教的権威に対し、科学の精神が優位に立ったわけです》

 新型コロナ禍で、感染対策と経済の間で迷走する政治への失望が募っています。議論と合意、手続きを重視する民主主義の「決定の遅さ」への不満も。私権制限に躊躇(ちゅうちょ)ない強権国家の優位性を指摘する声すら聞かれるほどです。

 SNSで言論空間の分断はさらに激しくなりました。立場の異なる相手への態度は先鋭的です。民主主義の根幹とされるヴォルテール(18世紀の仏哲学者)の「私はあなたの意見には反対だ。しかしあなたがそれを主張する権利は守る」がむなしく響きます。コロナが民主主義を壊すのでは、と不安が募ります。

 コロナが世界を変えるにせよ、問題は「どう変わるか」です。21世紀の世界とシステムはどんな姿になるのか。それを探るため、私たちは連載「自由 強権~21世紀の分岐点」を開始しました。

 「戦争の世紀」だった20世紀。初頭の20年-日露戦争▽第一次世界大戦▽米国参戦▽ロシア革命・共産主義権力「ソビエト政権」の出現▽終戦・ベルサイユ体制-を経て、世界は「狂騒の20年代」と言われた1920年代に突入し、第二次大戦へ突き進みました。初頭20年で時代の方向は暗示されていたのです。