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「チョコレートドーナツ」現代に突きつける告発状 

ポール(谷原章介、奥)はルディとともに、マルコをいつくしむ(引地信彦撮影)
ポール(谷原章介、奥)はルディとともに、マルコをいつくしむ(引地信彦撮影)

 ゲイカップルとダウン症の子供の家族愛と試練を描いた映画「チョコレートドーナツ」(原題「Any Day Now」、2014年日本公開)を、谷賢一翻案・脚本、及川眠子訳詞、宮本亜門演出で舞台化した。性的少数者や障害児への差別が引き起こした40年以上も前の悲劇は、2020年の「今」を告発する。

 ショーパブのダンサーをするルディ(東山紀之)と、ゲイであることを隠している検察官のポール(谷原章介)が恋におちるところから、「愛の物語」は始まる。隣室で母から虐待を受けていたダウン症のマルコ(高橋永、丹下開登のWキャスト)を保護し、2人は深い愛情を注ぐ。しかし、ゲイカップルが里親になることへの社会の偏見は根強く、正義を実現すべき場であるはずの法廷も彼らに冷たい。

 これでもかと畳みかけられる現実の厳しさに対し、映画にはない楽曲も使用した華やかなショーのシーンが効果的だ。まぶしければまぶしいほど、彼らが生きる「舞台裏」の世界の影が濃くなるからだ。

 東山の凛とした美しさと強さは性別や年齢を超え、ポールが心惹かれたのも納得の輝き。ポールの谷原は、自身の持ち味か包容力がにじみ出過ぎるきらいがあるものの、誠実な人柄が伝わってくる。ゲイであることを隠すのをやめ、正直に生きようと決心してからの吹っ切れた演技には、特に説得力がある。

 だが、何といってもこの舞台の主役はマルコだ。その愛らしさ、ひたむきさに、彼らに注がれるものが愛情だけであってほしいと切に願う。それだけに、それがかなわなかったラストに悔しさがこみ上げる。マイヤーソン判事(高畑淳子)の最後の一言には、法の正義を信じる良心と未来への希望が感じられ、わずかな救いだ。

 この悲劇は誰のせいか。その問いに、スポットライトは遠慮なく客席を告発する。もう十分だ、十分に苦しい。この演出はさすがにやり過ぎではないか。そう反論したくもなるが、これは何十年たっても変わることができない私たちと社会への最後通牒だ。

 東京・渋谷のPARCO劇場の公演は終了。1月に長野・宮城・大阪・愛知公演あり。03・3477・5858。(道丸摩耶)

 公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。