断捨離できない思い出の服を「裂き織り」でバッグに

断捨離できない思い出の服を「裂き織り」でバッグに
断捨離できない思い出の服を「裂き織り」でバッグに
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 「大切な人の思い出を、いつも近くに置きたい」。こんな思いをかなえようと、松江市の女性が、東北に伝わる伝統的な技法の「裂き織り」で、古い布を使ったかばんの制作に取り組んでいる。亡くなった人や成長した子供が着ていた服を材料にしており、ブランド名「omoide bag」と名付けた。全国展開を視野に、インターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)も行っている。

元は牛舎

 「トン、トン、トン」。松江市宍道町西来待の一角にある古民家の納屋から、昔懐かしい織機を操る音が聞こえてくる。もとは牛舎だった場所を7月に改装し、「雑貨屋マッシュ」としてオープン。手作りのストールや帽子のほか、趣味で集めた食器などが並べられ、おしゃれな雰囲気だ。店主の武田実穂さん(41)は「ワクワクして刺激を受ける、そんなお店になれば」とほほ笑む。

 武田さんが布雑貨の制作を始めたのは13年前。自分の子供のために服を作ったのがきっかけだった。イベントなどに出店するうちに物作りが楽しくなり、友人の勧めで織機を購入して裂き織りを始めた。

 裂き織りは布をひも状に細く裂き横糸として使う東北の伝統工芸織物。武田さんは独学で技術を学び、失敗をしながら制作を重ねた。自由な発想で手掛けるカラフルなかばんや帽子について、武田さんは「同じものはできない。お客さんから『珍しい』といわれるとうれしい」と話す。

「思い出の品を捨てられない」

 もともとはイベントに出店したり、雑貨店に商品を出荷したりしていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で令和2年4月以降、納品がストップした。在庫を抱えて「何とかしないと」と思い立ったのが、「雑貨屋マッシュ」のオープンだった。

 しかしコロナ下では思うようなPRができず、売り上げがない日もあった。そんなときに客から「思い出のある物がなかなか捨てられない。どうにかできないか」という相談があった。「大切な思い出に新しい命を注ぐことで思い出が再び輝くのではないか」。思い出が詰まった服をかばんにリメークすることを思いついた。 

 例えば島根県安来市の女性の場合は、母親にプレゼントするためとして、亡くなった父親のネクタイを使ったかばんを制作。武田さんは、女性から思い出話を聞き、ネクタイにあった白い馬の刺繍(ししゅう)をかばんの持ち手に残すことにした。