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共通テスト不正 受験生出頭

コロナ禍の一年、裁判にも影 公判延期、IT化後押しも…

 年初からの新型コロナウイルス感染拡大に伴い、全国で多くの裁判が4~5月の緊急事態宣言期間の前後に中断された。特に市民が参加する裁判員裁判への影響は大きく、3月に取り消された初公判が半年以上先になるケースもあった。再開後も傍聴席の使用が制限されるなど、コロナ禍は裁判に影を落とし続けているが、一方で民事訴訟のIT化を後押しするといったプラス効果もみられた。

 「マスクで表情を読み取るのが難しかった」「話が聞き取りにくいこともあった」

 新型コロナの感染再拡大が続く12月上旬、東京地裁で開かれた裁判員裁判の判決後、裁判員の一人はこう振り返った。被告や他の裁判員らのマスク着用で不便さは感じたが「評議のときには、何度も会議室の空気を入れ替えてくれた」ことなど、裁判所側のコロナ対策にはおおむね満足した様子だった。

 裁判員裁判は、法廷での審理や別室での評議、多数の候補者が集まる裁判員の選任手続きなどで「密」になりやすい。全国の裁判所では3月以降、裁判員の健康や不安に配慮して軒並み延期された。

 東京地裁では6月初め、約3カ月ぶりに裁判員裁判が再開された。しかし、その初公判で弁護人が「全力で弁護活動できない」とマスク着用を拒否。裁判員らに表情が伝わらないことを懸念したとみられ、審理が中断した。他人と一定の距離を保つことや裁判員らとの間にアクリル板を置くことなどを条件に、マスクを拒否したまま再開したが、裁判員側からは弁護人の対応を「非常識だ」と指摘する声も漏れた。

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 コロナ禍が長引く中、各裁判所では法廷でのマスク着用を求めるだけでなく、公判や評議には可能な限り広い部屋を使用するようにしてきた。傍聴席は、最高裁が3月から間隔を空ける運用を始め、他の裁判所も間隔を2席ずつ空けるなどの対応を取った。

 ただ、多くて7割程度もの傍聴席が使えない状況に集団訴訟の原告側らから不満の声が上がり、「憲法が保障する『裁判公開の原則』をないがしろにしている」との批判もあった。最高裁は10月、「マスクを着用していれば感染リスクは相当程度低い」という専門家の助言をもとに、一般傍聴席の間隔を「1席が相当」に変更した。

 裁判員裁判が大幅に延期されるケースも相次いだ。女子大生殺害の罪に問われた被告は、当初3月上旬の予定だった東京地裁での初公判が、約7カ月後の10月6日まで延びた。

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 一方で、裁判所と弁護士事務所などをインターネットでつなぎ、民事訴訟の争点整理など非公開の手続きを進める「ウェブ会議」は、コロナ禍が利用を後押しした側面があるようだ。2月に東京、大阪など8地裁と知財高裁、5月に横浜、神戸など5地裁で導入されると、緊急事態宣言解除後の6月から利用が急増。最高裁によると、2月は133件だったが、11月は4349件(速報値)になった。12月14日からは全国50の地裁本庁全てで運用が始まり、さらに利用数が伸びることが期待されている。裁判所関係者は「新型コロナの感染拡大で3密を回避したい弁護士らが、結果的にウェブ会議を活用するようになったのではないか」と話している。