餓死母親の息子「無戸籍で助け求められず」水と塩で…

 大阪府高石市の民家で9月、住人の高齢女性が餓死し、同居の息子も衰弱して入院した。生活費が底をつき、最後は水と塩だけでしのいでいた親子。いずれも戸籍がなく、息子は「無戸籍だったので助けを求められなかった」と語ったという。無戸籍であることに負い目を感じていたのか。近所の住民ら関係者の話からは、境遇や困窮ぶりを周囲に知られないように暮らしていた親子の姿が浮かぶ。

 「おはようございます。母が亡くなりました」

 近所の自治会長の70代男性宅に息子が訪ねてきたのは秋分の日の9月22日午前8時ごろ。深く一礼し、淡々とした様子で息子が告げた事実に男性は驚いた。

 慌ててはだしのまま女性宅に駆けつけると、1階6畳間のベッドの上に女性があおむけに寝ていた。体はやせ細り、手を腹の上で組んでいた。栄養不足による餓死で死後数日が経過。息子も衰弱しており、入院した。

 女性は長崎県の五島列島出身で死亡時は78歳、息子は49歳で学校に通ったことがなく、最近は無職だったとみられる。息子とともに戸籍がなかったが、内縁の夫と3人で暮らしていた。

 「きちっとした性格で、よく家の周りの排水溝の蓋を開けて掃除していた」と近所の住人。人付き合いがよい方ではなかったが、好きな甘酒を手作りし、分けることもあった。平穏な暮らしに影が差したのは平成28年。内縁の夫が死亡し、息子と2人で遺産頼みの生活が始まった。次第に困窮し、今年夏ごろには食べるものもなくなった。

 8月末、女性は金を借りようと知人を訪ねた。しかし、言い出せず、そうめんをもらって帰った。それがほぼ最後の食事だったとみられ、この頃から女性は衰弱して歩けなくなり、息子が看病するようになった。