日韓合意

当時外相の岸田文雄氏インタビュー「世界が証人、韓国は履行を」

「日韓合意から5年」について話す、岸田文雄元外相=16日、東京都千代田の衆院第1議員会館(寺河内美奈撮影)
「日韓合意から5年」について話す、岸田文雄元外相=16日、東京都千代田の衆院第1議員会館(寺河内美奈撮影)

--外相として確認した日韓合意を韓国の文在寅政権は事実上、破棄した

「合意は日韓関係の未来にとって重要な合意だった。世界が評価した合意であり、日本は履行すべきことは全て履行している。韓国には合意の内容をしっかり履行してもらい、未来に向けて日韓関係を動かしていくことが大事だ」

--合意を結んだ理由は

「日本としてこれ以上、国際社会で慰安婦問題をめぐって非難されるのは放置してはいけない。お互いが非難するのはやめようと決着をつけることは今後、日本が外交を進める上で重要なことだと思った」

--合意によって韓国側に「約束を守れ」といえるようになった

「国際社会を証人にするという意図で、両国の外相が記者会見し、テレビカメラを通じて全世界に映像を流す形を取った。合意後、間髪入れずに世界の大使館に合意について各国にコメントしてもらうよう指示した。当時のバイデン米副大統領はじめ、30カ国以上が合意を高く評価すると発表した。ケリー米国務長官には合意前から慰安婦問題や日本の取り組みについて再三説明していたし、理解が進んでいたと思う」

--国内には保守層を中心に否定的な意見もあった

「賛成の声と反対の声の両方があり、日本政府としてもギリギリの決断をした。日本が何も努力をしてないと韓国側がいうのは心外だ。当時の安倍晋三首相は慎重な部分もあったが、最後は決断した。何度も官邸で外務省などの関係者が集まって意見交換したし、私と首相との電話のやりとりも韓国への出発間際まで続いた」

--いわゆる徴用工判決でも韓国は昭和40年の日韓請求権協定を無視した

「徴用工の問題はまさに国際法、条約を守るかどうかの問題で、日本として譲る余地はない。司法も含めて国全体が条約に縛られる。『韓国は三権分立だ』『司法には注文をつけられない』という理屈は通用しない。事実、韓国側は文政権までは協定に徴用工は含まれ、解決しているとの姿勢を取ってきた」

--米次期大統領就任を確実にしたバイデン氏は日韓関係の改善を働きかけるのではないか

「バイデン氏は日韓関係や同盟国との関係に深い関心を持っているが、関係を大事にするためにも日本として正論を訴えるのがあるべき姿だ。仲良くしろといわれても理屈を譲るわけにはいかない。政府は米国に理屈を理解してもらう努力をする必要がある」(田村龍彦、永原慎吾)