羽生V、異次元の演技 2位に大差「世界に平穏を」

男子フリーで演技する羽生結弦=26日 長野市・ビッグハット(代表撮影)
男子フリーで演技する羽生結弦=26日 長野市・ビッグハット(代表撮影)

 フィギュアスケートの全日本選手権第2日は26日、長野市ビッグハットで行われ、男子は羽生結弦(ANA)がフリーで215・83点を出して前日のショートプログラム(SP)に続いて1位となり、合計319・36点で5年ぶりの優勝を果たした。

 次元が違った。5年ぶりの王座奪還を確信した羽生は両手を広げてフィニッシュポーズを取った後、右手の人さし指を天高く突き上げた。

 「練習してきたことを、体の感覚を信じてやりきることができた」

 会心の演技は4回転ループの成功で幕を開けた。三味線や琴の音色を取り入れた和を基調としたフリーの新演目「天と地と」。戦国武将の上杉謙信と武田信玄による川中島の合戦がみどころに描かれた大河ドラマのテーマ曲に乗り、圧巻の舞いを演じ切った。

 「すごく自信を持っている」と言い切る4回転サルコーと演技後半にコンビネーションで跳ぶ2本の4回転トーループは抜群の安定感で加点を引き出した。前日のSPに続き、フリーも全体トップの215・83点。2位に大差をつけての「完全優勝」だった。

 今季は新型コロナウイルスの感染リスクを憂慮してグランプリ(GP)シリーズを欠場。シーズン初戦となった今大会の出場決断にも葛藤があったと打ち明ける。拠点のカナダにも戻れず、国内での練習はコーチ不在。それでも、五輪2連覇の絶対王者は、とことん自分と向き合う時間の中で「どういう風に調子が悪くなるのか、よくなっていくのか」を自ら考え、体現してきた。

 全日本制覇で来年3月の世界選手権代表に内定した。テレビの優勝インタビューで感想を聞かれた羽生は「やれれば、ですけどね」と複雑な表情を浮かべた。「何よりも世界に早く平穏が戻って、僕自身も平穏な暮らしをしたいというのが率直な思い」。穏やかな表情で願いを口にした。(田中充)