【島を歩く 日本を見る】時を超え、命をつなぐ神秘の森 屋久島(鹿児島県屋久島町)(1/2ページ) - 産経ニュース

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島を歩く 日本を見る

時を超え、命をつなぐ神秘の森 屋久島(鹿児島県屋久島町)

【島を歩く 日本を見る】時を超え、命をつなぐ神秘の森 屋久島(鹿児島県屋久島町)
【島を歩く 日本を見る】時を超え、命をつなぐ神秘の森 屋久島(鹿児島県屋久島町)
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 鹿児島県の屋久島(やくしま)は、九州最高峰の高さを誇る宮之浦岳を主峰とする1千メートル級の山々が連座する。山には日本固有植物であるスギの木が多く生え、標高500メートルあたりから山頂近くにかけて自生する樹齢1千年以上のスギは「屋久杉」と呼ばれている。

 緑豊かな自然からは想像できないが、屋久島は花崗(かこう)岩でできているため土壌の栄養が乏しく植物が育ちにくい。その一方で「ひと月に35日雨が降る」といわれるほど水に恵まれており、年間の降水量は日本の平均の2倍をはるかに超える。

 島内には「大川の滝」や「千尋(せんびろ)の滝」などいくつもの壮大なスケールの滝がある。水の恵みを得た上、悠久の時間をかけて育った屋久杉は、他の土地の同じ太さのスギに比べて年輪が極めて細かく、樹齢が長い。

 巨大な屋久杉が点在する標高600メートル超の「白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)」へトレッキングに繰り出した。森の中はモスグリーン色の仄(ほの)暗い世界が広がり、神秘的だ。岩や切り株をコケや小さな芽が覆う。600種ほどのコケが島で見られるという。

 古来、屋久杉は信仰の対象とされていたが、豊臣秀吉の天下統一が進むと、特別な建築のために伐採されはじめた。江戸時代には屋久杉材を年貢として納めることになり、藩財政と人々の暮らしのために島内の5~7割に当たる屋久杉が伐採されたと推定されている。さらに先の大戦後は、復興と経済成長のため営林業は勢いを増した。

 昭和41年、標高1300メートルの深い森の中で、高さ約25メートルの国内最大級の屋久杉「縄文杉」が見つかった。樹齢は2千年あまりから7200年まで諸説あり、見る者を圧倒する。

 やがて、森林生態系保護地域が設定されるなどして環境保全が進み、平成5年には島の約2割のエリアが日本で初めて世界自然遺産に登録され、多くの観光客が来るようになった。