浪速風

SNS時代に韓非子の教え

 中国の古典『韓非子』には、SNS全盛時代の処世訓が、随所に記されている。虎のような猛獣が市場に現れるはずはないのだが、何人もが言い出すと信じてしまう「三人市虎」のたとえ話は、デマがどう広がるのかを示唆している。よく考えれば分かるフェイクニュースも、拡散によって簡単に鵜呑みされてしまう

 ▼金持ちの家に、壊れた塀から泥棒が入る寓話もそうだ。被害に遭った金持ちは、塀を直すように促していた息子の聡明さをほめる一方で、同じ忠告をした隣人を犯人ではないかと疑うようになった。ネット社会では、悪意のない意見でも、どう受け取られるか分からない。炎上を招かないよう、細心の注意を払う必要がある

 ▼「巣ごもり」の年末年始を迎え、SNS上にはさまざまな情報が飛び交うだろう。中には、虚報や中傷もある。落ち着いて真偽を確かめ、惑わされないようにしたい。気づかないうちに、誰かを傷つけることだって、あるのだから。

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