「北酒場」などのヒット曲で知られる作詞家で、直木賞作家のなかにし礼(なかにし・れい、本名・中西禮三=なかにし・れいぞう)さんが23日、心筋梗塞のため死去した。82歳だった。葬儀・告別式は家族のみで行い、後日お別れの会を開く予定。喪主は妻、中西由利子(なかにし・ゆりこ)さん。
昭和13年、中国黒龍江省牡丹江市生まれ。立教大文学部仏文科在学中からシャンソンの訳詞を手掛け、歌手の菅原洋一さんが歌った「知りたくないの」のヒットを機に作詞家になった。代表作に、黛ジュンさん「天使の誘惑」、北原ミレイさん「石狩挽歌」、細川たかしさん「北酒場」、黒沢年男(現年雄)さん「時には娼婦のように」など。作詞を手掛けた作品は約4千曲に上る。
後に作家活動を開始し、平成10年に長編小説「兄弟」を発表。12年に「長崎ぶらぶら節」で直木賞を受賞した。旧満州からの引き揚げ体験を描いた「赤い月」、NHK連続テレビ小説「てるてる家族」の原作なども著した。
日本音楽著作権協会の理事長を務めたほか、テレビの情報番組でコメンテーターとしても活躍。24年に食道がんを告白、27年に再発を公表していた。