iPS心筋シート移植3例実施 大阪大「経過は順調」

iPS細胞から作製した心筋シートを使った治験の進捗について会見する大阪大の澤芳樹教授=12月25日午後、大阪府吹田市(鈴木俊輔撮影)
iPS細胞から作製した心筋シートを使った治験の進捗について会見する大阪大の澤芳樹教授=12月25日午後、大阪府吹田市(鈴木俊輔撮影)

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から心臓の筋肉(心筋)細胞を作り、シート状に加工して重症の心不全患者に移植する世界初の治験を行う大阪大の研究チームは25日、これまでに3例の移植手術を実施したと発表した。新たな治療法確立につながることが期待されており、チームの澤芳樹教授は記者会見で「経過は順調」と話した。

 今年1月に初の手術を行ったチームは9月に2例目、11月に3例目をそれぞれ実施した。計10例を実施する計画で、これまでの3例の安全性や治療効果などの評価を受けた上で、来年6月以降に残る7例の移植に進む。

 手術を受けたのは、心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、血液を送る力が衰える「虚血性心筋症」という心不全の患者3人。チームは性別や年齢を明らかにしていないが、いずれもすでに退院している。

 治験では、京都大が作製し備蓄しているiPS細胞を使用。心筋細胞に分化させ、直径4~5センチ、厚さ約0・1ミリの円形のシート状に加工し、患者の心臓に3枚張り付けて移植した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で2例目の移植まで半年以上を要したが、全体のスケジュールには大きな影響はないという。阪大で会見した澤教授は「まずは安全性を確認するのが重要。最初のステップは無事に進めることができた」と強調。その上で、「世界で苦しんでいる人たちを救うことが最終的な目標だ。手放しで喜ばずに、次のステップに進みたい」と述べた。