アニメ映画「FUNAN フナン」公開 アヌシー国際映画祭最高賞 - 産経ニュース

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アニメ映画「FUNAN フナン」公開 アヌシー国際映画祭最高賞

映画「FUNAN フナン」の一場面 Les Films d'Ici - Bac Cinéma - Lunanime - ithinkasia - WebSpider Productions - Epuar - Gaoshan - Amopix - Cinefeel 4 - Special Touch Studios © 2018
映画「FUNAN フナン」の一場面 Les Films d'Ici - Bac Cinéma - Lunanime - ithinkasia - WebSpider Productions - Epuar - Gaoshan - Amopix - Cinefeel 4 - Special Touch Studios © 2018

 独裁者ポル・ポト率いる政治勢力「クメール・ルージュ」に支配された1970年代後半のカンボジアを舞台に、首都プノンペンから農村へ強制移住させられる途上、息子と離れ離れになってしまった母親を主人公にした長編アニメーション。最愛の息子と再会するため、過酷な重労働にも耐え、絶望的な状況下を生き抜く姿を描いている。

 原始共産主義を掲げるクメール・ルージュは都市住民から家や財産をはく奪し、農村へ強制移住させ、自由を奪い、報酬も与えず、わずかな食糧で長時間、重労働に従事させた。

 また医師や教師、役人といった知識人を殺害するなど理不尽な虐殺も行った。こうした粛清や過酷な労働により、人口の2~3割にあたる約170万人以上が犠牲になったといわれている。

 フランス生まれのドゥニ・ドー監督の初の長編作で、カンボジア出身の母親とその家族の壮絶な体験をもとに本作を描いた。映画化に当たっては徹底的にリサーチ。本作について、監督は「善悪がテーマではない。苦しみ疲れ果てた普通の人々の生き様を感じ取ってほしい」とコメントしている。

 また、背景の美しい描写について「カンボジアの静かな雰囲気と壮大な景色は、綺麗事ではない物語を際立たせ、登場人物たちの心の矛盾を浮かび上がらせる。穏やかで変化に富んだ景色は、彼らの虐げられた魂の対極にあるものだ」(監督)という。

 冬休みにぜひ家族連れで見て欲しい作品だ。カンボジアという国やその歴史にも関心を持つきっかけになるのではないだろうか。上映する劇場が全国で限定されているのが残念だ。

 タイトルの「FUNAN フナン」は、クメール人(カンボジア人)が建国した古代国家「扶南(フナン)」から付けられた。フランス、ベルギー、ルクセンブルク、カンボジア合作。世界最大のアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭」で長編コンペティション部門のグランプリを受賞。

 12月25日から東京・YEBISU GARDEN CINEMAやシネ・リーブル池袋、大阪・テアトル梅田などで全国順次公開。1時間27分。(啓)