朝晴れエッセー

2人だけのクリスマスを・12月24日

夫は「病気のあんた1人家に残してコロナになるわけにはいかん。だからコロナ対策をしっかりやろう」と言った。ありがたいと思う半面、今年のクリスマスには孫娘たちに会えないと言われているようで気落ちしていた。

そんな私の気持ちを察してか、突然、ガレージで何やらバタバタと動き出した。2年前まで息子の愛車がそこに鎮座していたが、今は息子と一緒に巣立ちガランとしている。

夫は車用品の片付けでもしているのだろうと思った私は、外に出て見ることはなかった。だが夜暗くなった頃、「ちょっと外に出てみよう」と誘いがかかった。

夫の指さす方向を見上げると、2メートルのクリスマスツリーが点灯し、木登りサンタやリースも飾られていた。息子が小さい頃買いそろえた物で、長い間ガレージ内の倉庫の屋根裏にしまっていた。

リースのリボンは色あせ、ツリーの球もところどころつかなくなっていた。そのとき無性にうれしく思った。ライトアップされた飾りつけが涙で潤んでぼやけて見える。

日中、夫は脚立に登ったり降りたりしてツリーにたまったほこりを掃除し、コンセントを付け、継ぎ線を張り巡らしていたのだ。私1人のためのクリスマスツリーを。

その夜、コートを羽織って2人でベンチに腰掛け眺めていたが、しばらく言葉が出なかった。夫は「これこそメリークリスマスやな」と気恥ずかしそうに言った。今年は夫と私だけのクリスマスをガレージで過ごそうと決めた。

片山ふみ 63 非常勤講師 大阪府河内長野市