「青森ねぶた祭」開催に向け模索続ける関係者 今夏中止で市民に喪失感 

 中止は主役のねぶたを作るねぶた師の生活をも直撃した。14人いるねぶた師の多くは、制作費で生計を立てているため、大きな収入源を失った。ねぶた師の立田龍宝さん(35)は「仕事がなくなったので、どう生きていくか、いろんなことを考えた」と複雑な心境を吐露した。

 市民の間にも失望感が広がる中、制作機会を失ったねぶた師をサポートしようという動きも活発化した。同協会がねぶた師に合同で特別な大型ねぶたを制作してもらうための費用をインターネットで募るクラウドファンディングを企画。全国からの善意が実を結び、特別ねぶたは来夏の祭りで披露されることが決まったのだ。ねぶた師の竹浪比呂央さん(61)は「高い理想を掲げてねぶたを前進させていく」と意気込む。

 とはいえ、感染拡大がいまだに続き、来夏の開催に不透明感が漂う。奈良委員長は産経新聞の取材に「ねぶたは動いてこそなんぼ。臨場感、ねぶたと観客の距離感、ノイズすべてが醍醐味(だいごみ)」と述べ、無観客ではなく、観客席のソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保などあらゆる感染防止対策を施した上での開催を模索していることを明かす。

 「今年はねぶたにスポットが当たった年。改めてねぶたの価値を再認識した。来年は2年ぶりのパワーをぶつけたい」と奈良委員長。東北を代表する夏祭りが再び人々を熱狂させる日が待ち遠しい。(福田徳行)

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