「性格的に自分は政治家に向いていない」。平成12年6月、愛知8区選出の自民党衆院議員だった久野統一郎さんは、地元の会合で突然、引退を表明する。
▼郵政相を務めた父親の忠治さんの後継として、10年前に政界入りした2世議員だった。父子合わせて約50年間、選挙区を守ってきた。次の選挙に勝てば初入閣との期待の声もあっただけに、地元では大騒ぎとなる。そもそも「政治家に向かない」という理由で議員を引退するのは前代未聞である。
▼自民党の吉川貴盛元農林水産相(70)が、議員辞職した。こちらは「健康問題」というありふれた理由である。確かに吉川氏は慢性心不全などで入院治療を受けている。とはいえ、とても額面通りに受け取るわけにはいかない。