平成2年11月の「即位の礼」に参列するために来日した中国の呉学謙副首相が海部俊樹首相と会談した際、天皇に即位された上皇さまに訪中を直接招請したと伝達していた。前年の天安門事件後では、天皇初訪中への起点となるが、日本政府が世論を懸念して非公表にしていた。23日公開の極秘公電で明らかになった。中国にとっては天皇訪中を日本との関係改善の象徴とする一方、事件による西側諸国の制裁を打破する思惑もあった。
呉氏との会談を記録した2年11月13日の公電によると、呉氏は即位の礼があった12日に上皇ご夫妻(当時の天皇、皇后両陛下)と会見した際、楊尚昆国家主席のメッセージとして「都合が良い時期に両陛下にご訪中いただきたいと伝えた」と説明した。
公電余白には、中国側との折衝で訪中招請の発言に関し「外部に出さないことで了解が成立しているので念のため」との注意書きもあった。