朝晴れエッセー

クリスマスの思い出・12月23日

50年前のわが家では、クリスマスが近づくと小さな市販の卓上ツリーを居間に飾り、当日の朝にプレゼントをもらい、夕食に鶏のもも肉料理を食べ、それからデコレーションケーキを食べた。

玩具とごちそう。それがクリスマスの過ごしかただった。

12月20日頃には小学校の給食にアイスクリームのクリスマスケーキが出た。子供にとっては1年に1度の夢のような出来事だった。クリスマスの奇跡とは、こういうことをいうのかと誰もが感動するほどだった。

なにしろ、一人ひとりが丸々1個ずつアイスクリームのケーキを食べられるのだ。私たちはみな笑顔で、当時は珍しかった冬のアイスクリームに舌鼓を打った。サンタクロースからのぜいたくなおやつのプレゼントだった。

そのなかで1人だけケーキにまったく手をつけない級友がいた。溶けないように窓の外に置いて家に持って帰り、弟妹と分け合って食べるという。

家庭の事情で、給食のケーキが唯一のクリスマスのお祝い料理だったのかもしれない。まだ小学校に上がっていない弟妹はそれを楽しみに待っていたはずだ。

級友たちがパクパクとおいしそうにケーキを頬張るのを見ながら、彼もまたサンタクロースに感謝しただろうか。あるいは、世の不平等、不公平を神に訴えていたのだろうか。

クリスマスとはイエスキリストの誕生を祝うキリスト教徒の聖なる日だと知ったのは随分あとのことだった。

佐々木晋 59 北海道恵庭市