借金なんぼや

　ゆうちゃんから５千円借りてパチンコに行ったら全部負けたので、中西に８千円借りてゆうちゃんに３千円だけ返し、２千円で競馬をしたら１万９千円勝って、そこから中西に６千円だけ返して…。転がるようなリズムに乗せて歌う上田正樹と有山淳司の『俺の借金全部でなんぼや』は、若くて貧乏でルーズなバンドマンたちの共助を描き出す▼優秀な人材を抱え周到なはずの政府も似たようなものである。国の借金（国債発行残高）は来年度末で９９０兆円になる見通しで、地方自治体の借金も合わせると１２０９兆円。それでも続けられるのは、政府は必ず返済（国債償還）するし、財政悪化もいずれ食い止めると信頼されているからだ。幾分怪しいところもあるが　▼コロナ禍で世界が一変した今、およそ不可能な財政再建を目指してちまちまとつじつま合わせをしても仕方がないだろう。財政は何のためにあるのか、まっさらになって考え直すときがきたようだ。