失踪で困窮、犯罪に…行き場ないベトナム人技能実習生、コロナ禍も影(1/2ページ) - 産経ニュース

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失踪で困窮、犯罪に…行き場ないベトナム人技能実習生、コロナ禍も影

失踪で困窮、犯罪に…行き場ないベトナム人技能実習生、コロナ禍も影
失踪で困窮、犯罪に…行き場ないベトナム人技能実習生、コロナ禍も影
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 技能実習生として来日したベトナム人が、劣悪な労働環境に耐えかねて実習先から失踪するケースが急増している。正規の仕事に就けず行き場をなくして犯罪に手を染めたり、新型コロナウイルスの影響で実習先が破産したり経営難で解雇される事例も起きている。国は実習生の転職を認める特例措置を設けるなど対応に乗り出しているが、安価な労働力として実習生を利用し続けてきた日本の「ゆがみ」も透ける。(飯嶋彩希)

劣悪な環境

 「悪いことだと分かっていたが、家族を養うために働き続けるしかなかった」

 関東にある建設会社で約1年間実習生として就労した後、失踪したチャン・ヴァン・フンさん(37)は、こう打ち明けた。

 就労先は残業時間と比べて給料が安く、住み込み先の光熱費などを差し引かれ、想定していたよりも手取りは少なかった。「来日時に借金もしており、割に合わないと思って逃げた」

 約2年間に及んだ失踪期間中は、日本にあるベトナム人コミュニティーを頼って中国地方の建設会社を紹介してもらい、住み込みで働いていた。ただ、同僚のベトナム人実習生が不法在留の疑いで警察に逮捕されたのをきっかけに、自身も不法就労だと会社にばれ、解雇された。

 「いつも通り会社の送迎車に同僚と乗ったら、警察が来て目の前で同僚の一人が逮捕された。私の番もすぐ来る、と思うと恐ろしくなった」。今年9月に入管当局へ出頭。現在は仮放免中で、母国へ送還されるのを待っている。

 平成30年に来日し、千葉県のクリーニング会社で技能実習生として働いていたベトナム人女性(37)も、日本人の上司から毎日のように「何でこんなことも分からないんだ」「ばか」などと怒鳴られるなどして追い詰められ、1年足らずで逃げ出した。

 貧しい農村部出身。母国には幼い子供や高齢の両親らがおり、手取りで月16万~20万円の報酬の大半を仕送りに宛てていた。逃亡後は友人の紹介で農家や工場で働いたが限界を感じ、チャンさんと同様、入管へ出頭。未払い賃金があったため、1年ぶりに就労していたクリーニング店を訪れたが「失踪者の対応はできない」と、一部しか支払われなかったという。

新資格創設も…

 外国人技能実習制度は平成5年、日本で技能を学びながら働き、母国へ技術を持ち帰るという国際貢献を目的に創設された。しかし、実際には研修を名目とした「都合のいい労働力」として扱われてきた実態があり、劣悪な待遇や実習生の失踪が問題化している。