朝晴れエッセー

生命(いのち)の手・12月20日

1980グラム。息子の出生体重である。

「赤ちゃんの体重が増えていません」

妊娠9カ月目に入ったとき、医師から突然告げられ、即入院となった。2月14日、真冬の寒い時期だった。

それまで「小さいながらも順調」と言われていただけに、病院のベッドに体を横たえていても気持ちはひとつも休まらなかった。

その数日後、東京では珍しく立て続けに大雪が2回降った。主人と義父母が必死に雪かきをしたと聞いた。

母からは「お腹の子が守ってくれたんだよ、家にいたら何かと危なかったかもしれないじゃない」と言われ、ようやく気持ちが落ち着いた。

3週間ほどの入院の後、体重は400グラムほど増えたが、これ以上お腹に入れておくと危ないということになり、緊急帝王切開で出産することになった。

手術の間、助産師さんたちが細かく進捗(しんちょく)状況を伝えてくれていたのだが、緊張で体の震えが止まらなかった。「最後に少し押されますよ」の言葉の後「ワァー!!」と体が小さい割に元気な産声が上がった。

しかし、何より目についたのは手だった。か細い両手を力いっぱい広げ、強い生命力を感じた瞬間だった。

それから6年後、手をつないで歩いているときたくましい手になったなあと思っていたら、息子に言われてしまった。

「ママの手、年少の頃よりシワシワだね」

大黒瑞代 40 東京都町田市