二宮尊徳の石像、栃木県真岡市に寄贈 茨城・桜川市の野口さん

寄贈された二宮尊徳像と野口昇さん=17日、真岡市物井
寄贈された二宮尊徳像と野口昇さん=17日、真岡市物井

 江戸時代の農政家、二宮尊徳(1787~1856年)の石像が栃木県真岡市に寄贈され、17日に除幕式が行われた。寄贈したのは、茨城県桜川市の石材用加工機械販売会社の相談役、野口昇さん(72)。尊徳の思想や方法論「報徳精神」を普及したいという思いと、国内の石材三大産地として知られる桜川市真壁町の出身であることから、地元の石材を使った像を3年がかりで完成させた。

 新型コロナウイルスの影響もあり、除幕式は関係者だけで行われたが、野口さんは「コロナ禍でこそ、尊徳の教えが生かされる」と話している。

 石像の高さは台座部分を合わせて約1・7メートルで、和服の正装「裃(かみしも)」を着た成人の尊徳が座った姿。

 この日、真岡市物井の桜町陣屋跡に隣接する多目的広場で開かれた除幕式で、同市の石坂真一市長は「尊徳先生の教えである至誠、すなわち『まごころ』を大切にし、多くの方に選ばれるまちとして交流を広げていきたい」などと語った。

 尊徳像といえば、シバを背負って読書をしながら歩く少年の姿が有名だ。野口さんは「野州桜町(現真岡市)の復興に尽くした時代の姿を伝えたい」と考え、二宮尊徳資料館(同市)や報徳博物館(神奈川県小田原市)などの文献を探し、成人の肖像画の複製を入手。取引先の仏師に依頼して、2体の石像を完成させた。うち立像の1体は昨年11月、「道の駅 グランテラス筑西」(茨城県筑西市)に置かれた。

 新型コロナの影響で企業の経営環境は厳しいが、野口さんは「収入に応じた一定の基準を決めてその範囲内で生活する『分度』や、分度以上の収入は他者に分け与える『推譲』の教えがあれば、疫病の際の備えもできる」と指摘。尊徳の教えは、現代の課題解決にもつながると考えている。(鈴木正行)