浪速風

不思議の負けなし

 文武に秀でた江戸時代の肥前国平戸藩主、松浦清は「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」と書きのこした。プロ野球の名将、野村克也さんの座右の銘として広く知られる言葉だが、その戒めを実社会で生かすのはなかなか難しい。新型コロナウイルスとの「勝負の3週間」は敗北に終わろうとしている

▼都市部の人出を示すデータなどをみると、感染拡大に不思議はない。「Go To」キャンペーンがその原因だったといえる明確な証拠は見つかっていないようだが、専門家の言う通り、人々の気の緩みにつながったのは確かだろう。きつい言い方をすれば、政府がそそのかしてしまった ▼世界的にみて日本は感染拡大のペースが穏やかで、勝ち組とみなされた時期もあった。勝因として仮置きされたのは、政府の対策ではなく未知の「ファクターX」。その謎解きも勝負も終わらないのに、「不思議の勝ち」に甘えてしまっていたのだろう。

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