無機質な告白の白石被告、見えない「本心」

白石隆浩被告の判決公判が開かれた東京地裁立川支部の法廷=15日、東京都立川市(代表撮影)
白石隆浩被告の判決公判が開かれた東京地裁立川支部の法廷=15日、東京都立川市(代表撮影)

 9人もの命を奪う理由はどこにあったのか-。神奈川県座間市のアパートで平成29年に15~26歳の男女9人が殺害された事件で強盗強制性交殺人などの罪に問われ、東京地裁立川支部に死刑判決を言い渡された白石隆浩被告(30)の約2カ月半に及んだ裁判員裁判を終えても、その疑問が解けることはなかった。

 発覚当初から異様な事件だった。SNS(会員制交流サイト)上でつながっただけの希薄な人間関係が、連続殺人へと直結した。そこには近しいゆえの恨みや金銭トラブル、痴情のもつれといった人間臭さがまったくなかった。

 「金を引っ張れそうか見極め、引っ張れそうもなければ乱暴して殺害し、所持金を奪おうと考えた」。法廷で白石隆浩被告が何度も口にした犯行動機は、供述調書を暗唱しているかのような無機質さしか感じなかった。実際に被害者から奪った現金は、わずか数百円から多くても数万円。後の被害者になるほど「見極め」も雑になり、半ば衝動的に性欲を満足させるために行動していた。

 被告は犯行に使った複数のツイッターのアカウントについて、「一緒に自殺したいというキャラクター」「(首つりで)殺してあげるというコンセプト」などの設定があったことも明かした。法廷で淡々と遺体の処理手順を話す姿は、弁護側が「最速で裁判を終わらせようとしている」と指摘したように、合理主義的な犯罪者の仮面をかぶったまま告白しているように思えてならなかった。

 白石被告の言葉で唯一腑(ふ)に落ちたのは、約2カ月間に及んだ犯行期間を振り返った際に漏らした一言だ。「自分の快楽をずっと追い求めたような生活だった」。自身の逮捕につながった被害者の兄への恨み節も口にしたが、こうした言動は判決でも「自分本位な後悔」と一蹴された。

 被告は最後の被告人質問で「極刑でも控訴しない」と語っていた。このまま刑が確定すれば、本心は二度とうかがい知ることができない。(村嶋和樹)