富士山登山鉄道、往復1万円想定 キーワードは「上質な観光地」

 検討会が想定運賃を往復1万円としたのは、国内外の登山鉄道の例を参考にしたという。

 北アルプスの立山連峰をトロリーバスやケーブルカーなどでつなぐ「立山黒部アルペンルート」は、扇沢(長野県大町市)-立山(富山県立山町)間の片道が8430円。

 スイスのユングフラウ鉄道は往復約2万6千円、ゴルナーグラート鉄道は往復約1万2千円で、1万円は高くないというわけだ。

 基本構想素案は、1万円とした場合の利用者は年間300万人で、運賃収入は300億円とし、開業初年度から単年度黒字経営が可能と試算している。

課題は5合目の景観

 上質な観光地づくりには課題もある。イコモスは、土産物店などが立ち並ぶ5合目の商業主義的な景観を改善するよう求めている。

 山梨、静岡両県などでつくる富士山世界文化遺産協議会の学術委員会委員でもある藤井敏嗣・元火山噴火予知連絡会会長は、理事会で「5合目の再開発ができて初めて上質な観光地が実現できる。それを説明しないと学術委員会やユネスコは納得しない」と述べた。

 松浦晃一郎・元ユネスコ事務局長や岩村敬・元国土交通事務次官からも「登山鉄道を機に、5合目やその上の山小屋なども含めて世界に誇れる富士山にすべきだ」などの意見が出た。

 長崎知事は「これからは薄利多売が成り立たない。高付加価値化しないと駄目だというコンセンサスを得たい」と述べ、登山鉄道構想と5合目の景観改善を一体で進める考えを示した。