座間9人殺害、15日公判 「承諾」有無、平行線のまま 検察主張に沿う被告供述…弁護側「信用できない」

白石隆浩被告(ツイッターから)
白石隆浩被告(ツイッターから)

 神奈川県座間市のアパートで平成29年、15~26歳の男女9人が殺害された事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の判決公判が15日、東京地裁立川支部で開かれる。検察側は最終論告で「すべての被害者が殺害を拒絶していた」として死刑を求刑したが、弁護側は最終弁論でも被害者の同意があったとし、有期刑のみの承諾殺人罪の成立を主張した。強盗強制性交殺人などが適用されれば極刑も予想されるため、裁判員の判断に注目が集まっている。

 白石被告は9月30日の初公判で起訴内容を認め、20回超の審理で、「殺害の承諾はなかった」と説明し続けてきた。にもかかわらず、検察側と弁護側の主張は最後まで平行線をたどった。

 背景には事件の特殊性がある。SNS(会員制交流サイト)の通信履歴には、犯行前に被害者が被告と首つりの方法などをやりとりした記録が残っていた。一方、現場アパートで2人きりになってからの具体的な犯行状況については、裏付けとなる直接証拠が被告の供述に限られているのだ。

 検察側は約3年前の事件発覚直後から公判に至るまで、「被害者の承諾はなく、全員が抵抗した」という被告の供述は一貫していると説明。「一時的な記憶の混乱や減退はある」と認めつつも、被害者の血液が付着した段ボール片といった客観証拠とも符合しており、「被告の説明は自然で、極めて合理的だ」と強調した。

 これに対し、弁護側は9人の殺害そのものや遺体の遺棄などの事実関係を争わず、争点を殺害の承諾の有無にほぼ絞る方針を取った。被告の供述が捜査段階から変遷し、公判供述との食い違いが複数存在すると指摘。実際は被害者が殺害を承諾して抵抗しなかったのに、被告が取り調べの長期化を避けるために捜査機関に話を合わせ、虚偽の供述をした可能性を訴えた。

 公判での供述が検察側の立証方針に沿っている点についても、「反省したから事実を話したのではなく、(裁判を)『最速』で終わらせようとした」と評し、「承諾の有無に関する被告の供述は信用できない」としている。また、再度の精神鑑定が実施されなかったことを挙げ、刑事責任能力を疑問視した。

 起訴状によると、座間市の自宅アパートで29年8月下旬~10月下旬、女性8人に乱暴した上、男性1人を加えた9人の首を絞めて殺害し、現金数百~数万円を奪ったとしている。