スマートウォッチで「血中酸素」を測る機能は、どこまで使えるのか? 知っておくべき6つのこと

5.データはどのくらい正確?

センサーを適切な位置に装着していても、測定値はさまざまな要因の影響を受ける可能性がある。標準的な指先に取り付けるデバイスでない場合は、特にそうだ。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校で呼吸生理学を研究するジョン・ファイナーは、「反射型のデバイスは精度が多少落ちる可能性があります」と指摘する。「一般的には、指先に光を通すタイプのほうが精度はやや高くなりますが、こうしたデバイスはどれも受光量、体温の低下、血流の影響を受けることがあります。さまざまな要素に影響される可能性があるのです」

このように値が不正確になる可能性があることから、アップル、フィットビット、ガーミンなどの企業は、ウェアラブル端末から得られる測定値は医療診断での利用を意図したものではないと強調し、強く注意を促している。

また、色や光の話が出てくることからもわかるように、肌の色がオキシメーターの測定値に影響することもある。それでもSpO2を測定したいという人は、より安定した測定値を得るための方法を試してほしい。

ウォータールー大学のモリタは、「わたしが個人で利用するなら、腕時計を装着したあとでリストバンドなどの黒いもので覆い、完全に密閉するでしょうね」と言う。「そして制御された条件でのみデータをモニターするようにします。例えば、寝室に行ってすべての照明を消してから、1時間に1回のペースで自分のSpO2を測定するといった具合にです」

日常的な健康管理のために酸素飽和度を定期的に測定する場合は、呼吸が通常のレベルにあるときに測定するのがお勧めだ。「わたしなら、走ったあとや料理をしたあと、あるいは家の周りを歩いたあとには、スマートウォッチから得た情報を採用しません。このような活動によってノイズが加えられるからです」と、モリタは言う。

6.もっといい方法は?

手首に取り付けるオキシメーターは精度に欠ける可能性があるが、だからといってまったく役に立たないというわけではない。医療分野のパルスオキシメーターを20年以上研究してきたファイナーは、家庭用電子機器でこうした機能が利用できるようになったことは大きな技術的進歩を示していると指摘する。

「例えば、集中治療室の患者が落ち着かず、データを測定しようとするといつも値が動いてしまうとしましょう。このような場合には、得られた値が妥当かどうか判断する必要があります。しかし、以前は判断する手段がありませんでした。いまはこのようなデバイスが実際にかなりの性能を発揮しています。これは実に素晴らしいことです」と、ファイナーは語る。

家庭用電子機器に搭載されたパルスオキシメーターの場合、本当に懸念すべきことは精度ではなく、表示されたデータをユーザーが解釈する方法だと、ファイナーとモリタは口を揃える。

「市場に出回っているウェアラブル製品が抱える最大の問題は、技術やセンサー、あるいは収集されたデータにあるのではありません。そのデータがユーザーにどのように表示されるのかという点にあります」とモリタは言う。

ある時点のSpO2値をすぐに確認できたとしても、その前後の状況といったコンテクストがなければそれほど役には立たない。結局、自分の酸素飽和度について心配な点がある場合は、医師に相談するのがいちばんなのだ。医師であれば、データを経時的に追跡し、その結果を意味のあるかたちで解釈できるだろう。

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