ネアンデルタール人と現生人類との交雑は、数十万年前から起きていた:研究結果(1/3ページ) - 産経ニュース

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ネアンデルタール人と現生人類との交雑は、数十万年前から起きていた:研究結果

現生人類(左)とネアンデルタール人(右)の頭骨の比較。クリーヴランド自然史博物館所蔵。PHOTOGRAPH BY HAIRYMUSEUMMATT
現生人類(左)とネアンデルタール人(右)の頭骨の比較。クリーヴランド自然史博物館所蔵。PHOTOGRAPH BY HAIRYMUSEUMMATT

 これまで現生人類は70%2C000年から50%2C000前にアフリカを出て、そこでネアンデルタール人に出会ったとされてきた。ところが、実は37万年前から10万年前の間のどこかの時点で、ネアンデルタール人と現生人類がすでに交雑を起こしていた--。そんな研究結果が、このほど発表された。

TEXT BY KIONA N. SMITH

TRANSLATION BY TOMOYUKI MATOBA/GALILEO

ARS TECHNICA(US)

多くの現代人のDNAにネアンデルタール人の痕跡が残されていることは、すでによく知られている。だが、この遺伝子のやりとりは、実は一方向ではなかった。約45%2C000年前に現生人類がユーラシア大陸でネアンデルタール人の集団と出会ったとき、ネアンデルタール人たちは、すでにホモ・サピエンスの遺伝子をある程度は保有していたのである。

はるか以前に起きていた交雑が原因で、37万年前から10万年前の間のどこかの時点で、本来のネアンデルタール人のY染色体がホモ・サピエンスのそれに完全に置き換わっていた--。そんな研究結果が、このほど発表された。

進化遺伝学者のマーティン・ペトルとジャネット・ケルソらのチームは、2個体のデニソワ人(64万年前にネアンデルタール人から分岐したと考えられている化石人類と、フランスとロシア、スペインで発掘された3個体のネアンデルタール人(3個体とも38%2C000~53%2C000年前に生きていた)のY染色体DNAの配列決定を、新たな方法を用いて実施した。

この結果、ユーラシアで最も古いネアンデルタール人のゲノムのY染色体の配列は、デニソワ人のものによく似ていた。一方で、より新しい時代のネアンデルタール人のY染色体は、わたしたちヒトのものにそっくりだったのである。

一方向的ではない遺伝子流動

わたしたち人類は数万年前、少なくとも2種の別種の人類と共存していた。残された道具やビーズ、芸術などから判断するに、この別種の人々はどうやらわたしたちによく似ていたようである。

そして、恐らく共通点がたくさんあったからだろう、3種の間では多少の性的交雑があったようだ。その結果、数万年の歳月をかけ、いくつもの大陸を舞台に極めて複雑な人類集団の歴史が紡ぎ出されたのである。

遺跡からは、ネアンデルタール人とデニソワ人の間に生まれた娘が見つかっている(2012年にロシアで発見された約90%2C000年前の10代の少女の化石が、母がネアンデルタール人、父がデニソワ人であったと分析されている)。わたしたちヒトのDNAには、ネアンデルタール人とデニソワ人との交雑の記録が刻み込まれている。そして、ネアンデルタール人のゲノムには、はるか昔に初期ホモ・サピエンスと遭遇した際の遺伝的遺産が残されたのだ。