【復興日本 序章 コロナと災害】(中)画面越しでも思いは伝わる(3/3ページ) - 産経ニュース

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復興日本 序章 コロナと災害

(中)画面越しでも思いは伝わる

 減少の原因は新型コロナの影響だけではない。事務局長の中川政治さんは「25年がピークで、右肩下がりだったところに、コロナで激減した」と説明する。

 震災直後、倒壊したビルや流された船など、津波の脅威を物語る「もの」が、いたるところに生々しく残っていた。だが、町の復興とともに、撤去や取り壊しが進んだ。中川さんは「震災直後とは違って、見て分からないと伝わりにくい部分もある」と話す。

 震災を今に伝える遺構が少なくなる一方、行政が主体となってつくった伝承施設が次々と完成している。

 9月20日にオープンした東京電力福島第1原発事故などの記憶や教訓を後世に継承する福島県双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」。コロナの影響でオープンは遅れたものの西日本からの来場者も多く、6割は修学旅行生が占める。

 「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」(宮城県)では予約やキャンセルが相次いだが、東北地方からの修学旅行は増えているという。昨年までは1時間のコースを選ぶ学校が多かったが、今年はより時間をかけて、じっくり学ぶ学校も増えたという。

 伝承館の館長、佐藤克美さん(52)によると「本来は東京や関西、沖縄などを予定していた学校が地元の東北に改めて目を向けて、修学旅行の日程に組み入れるようになった」とみている。

 復興が進めば震災の爪痕は消え、時間がたてば実体験として語れる人も少なくなっていく。新たな伝え方が模索されているとはいえ、コロナは伝承にとって逆風には違いない。

 だからこそ、改めて伝承の意義をとらえ直す必要がある。

 中川さんは「東日本大震災の経験から、いずれ起きる災害を自分自身の問題だと考えるきっかけにするため、地域全体で伝える力を培っていかなくてはならない」と話した。