鑑賞眼

宝塚歌劇団月組「WELCOME TO TAKARAZUKA」「ピガール狂騒曲」 五輪で上演を、日本物レビュー

【鑑賞眼】宝塚歌劇団月組「WELCOME TO TAKARAZUKA」「ピガール狂騒曲」 五輪で上演を、日本物レビュー
【鑑賞眼】宝塚歌劇団月組「WELCOME TO TAKARAZUKA」「ピガール狂騒曲」 五輪で上演を、日本物レビュー
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 東京宝塚劇場で上演中の「WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-」は本来、東京五輪・パラリンピックの訪日客を想定して作られた日本物レビューだ。宝塚ならではの、洋楽で日本舞踊をスピーディーに見せる親しみやすさと、約80人の組子(コロナ感染予防で日程により出演者は異なる)による群舞に加え、今作は監修に初めて歌舞伎界の至宝、坂東玉三郎を迎えた。季節感あふれる、動く絵巻物のような舞台で、ぜひ来年の五輪開催時期に何らかの形で上演してほしい。植田紳爾作・演出。

 幕開けは、暗転から拍子木の音で一斉に照明が付き、着物姿の出演者が勢ぞろいする「チョンパ」の演出。独特の色気を漂わせる若衆姿の男役と娘役が、笑顔で「ウエルカム! ウエルカム!」と歌い踊る様式美に、一気に引き込まれる。

 世界的名曲に合わせて雪月花の日本美を、和の手法で見せる構成。中でも秀逸なのが「月の巻」だ。新月が満月に満ちるような展開で、ベートーベンの「月光ソナタ」に合わせ静かに始まるが、主演の珠城(たまき)りょうを中心に、群舞のパワーが徐々に高まり、終盤のボレロで一気に噴出する。月をまとったような黒地に金の着物、半月のように反射する扇も美しく、一人一人が日舞の動きをしながら、フォーメーションはコンテンポラリーダンスのような斬新さ。60年にわたり宝塚の日本物レビューを振り付けてきた花柳壽應(じゅおう)の遺作として、また宝塚の財産としても、忘れられない名場面になった。

 また今作は、日本舞踊の名手として活躍してきた、松本悠里の卒業公演でもある。「雪の巻」で帰らぬ人を待つ真っ赤な振袖姿は、少女のようにかれんで、指先まで神経の行き届いた踊りは別格だ。

 また男役の誕生を描く「花の巻」では、月城かなとと風間柚乃(ゆの)が鏡のように向かい合わせで舞い、男役の妖しさを印象的に見せた。