エリートの辛酸と成熟 瀬島龍三、「集大成」の全日本体操

 「年齢的にも6種目やることがきつくなってきた。Dスコア(演技価値点)をもっと上げないと五輪の代表選考に引っかからない。でも、そこまで上げられないし、上げようとすると体が持たない。若い選手のように、もう練習量でカバーできない」

 体操選手としての限界と潮時を感じていた。

■最後の日々、体操の奥深さと向き合う

 「集大成」と位置付ける全日本。瀬島は平行棒を得意としているが、鉄棒でも見せ場を作るかもしれない。

 鉄棒では手離し技の屈身コバチとカッシーナを実施する予定だ。屈身コバチは高校2年で成功してから、なかなか実戦で使う機会がなく今回が最初で最後。カッシーナについては、昨冬、内村航平が徳洲会の体育館に練習に来た際、体のひねりと縦回転の連動のコツを教わり、格段に良くなった。

 「今、面白いですね。感覚的にできていたものを、考えないといけなくなって、体の変化に合わせて工夫も必要になった。大学の頃より体操と自分の体を知れている。ここまでやってきてよかったなと思います」

 そして続ける。

 「若い頃は『よっしゃ、行くぞ。試合になればできるっしょ』という感じで演技していたけど、去年や一昨年くらいから演技前に『ここから走り去りたい』みたいになって、もう昔の自分じゃないんだなと思ったんです。でも、その分、若さの勢いで見えていなかった緊張とか不安に今は向き合えていて、そのための準備として練習する大事さも分かってきましたね」

 引き際は誰もが自分で決められるわけではない。「最後だ」と意識して、試合に臨める選手はどれほどいるのか。

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