朝晴れエッセー

今更、今だから・12月9日

古い携帯電話内の保存メールをのぞく所用中、かつての「夕焼けエッセー」に書きかけていた文書を見つけた。粗削りのままで結局出さなかったのだ。

携帯電話をなくして、JRの各関係者の方々の手を煩わせてしまった話である。

長期休暇を利用した旅行からの帰宅後に紛失に気づいた。特急列車まで持っていたのは確か。すぐさま降りた新大阪駅へ飛び、届け出た。が、しばらく待つも回送列車にはないと車庫からの連絡。確信があっただけに目の前は真っ暗に。

この間に勤務先からの緊急連絡が? いや、そんな心配より大事な個人情報の塊が…と悶々としていると、突然激しい胸騒ぎを覚えた。降り際に捨てたごみと一緒に…まさか。悪い予感はいや増すばかり。

通りかかった女性駅員に思い切って事情とごみ箱の中を探したい旨を話した。するとあろうことか、女性駅員までが都心の喧騒(けんそう)のプラットホーム上で、嫌な顔ひとつせずごみをかき分けてくださったのだ。

さらに清掃業者にごみ回収時間をさかのぼって調べる手配までしてくださった。だがそこで見つかることはなく、ただただ申し訳なくその日は帰宅した。

後日、携帯電話は車内の壁と座席の隙間から発見された。引き取りの際、あの女性駅員への謝意を伝えた。できるなら直接、謝りたかった。

コロナ禍の影響からJR各社も赤字転落と聞く。こんな時だからこそむしろ、自戒と日頃の感謝、エールを全て込めて書き上げる。

今更だが、今だから。

大村昌 47 兵庫県川西市