「コロナ、この街で治して」 甲府の療養ホテル、住民の不安乗り越え稼働

「コロナ、この街で治して」 甲府の療養ホテル、住民の不安乗り越え稼働
「コロナ、この街で治して」 甲府の療養ホテル、住民の不安乗り越え稼働
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 山梨県で新型コロナウイルスの軽症、無症状患者を受け入れる2カ所目の宿泊療養施設となったホテル「東横イン甲府駅南口I」(甲府市丸の内)は、県が借り上げてから稼働するまで3カ月かかった。地元住民に患者の無断外出に対する不安の声があったためだ。「この街で治ってもらい、また来てもらおう」。自治会長の呼び掛けで、空気が変わっていった。(渡辺浩)

無断外出を心配

 県は8月下旬からホテルを借り上げ、地元への説明を始めた。ホテルのある旧桜町北部地区では住民の減少を受けて昨年5月に自治会が解散しており、新たな住民組織として発足した「桜盛(おうせい)会」が県との窓口になった。

 会長の長田元さん(77)は「なぜ借り上げる前に住民の同意を得ないのかという不満があった。街の風評被害につながるという心配のほか、一部の住民は患者の無断外出に強い不安を覚えた」と話す。

 大阪で宿泊療養施設から患者が抜け出すケースが相次いだため、県に対して、外出防止の警報装置設置や、施設を外側から施錠するよう求める声もあったという。

 県関係者によると、県側は不安に一定の理解を示し、一時は施設を厳しく管理する案をつくり、説明会に県警の警備担当者を関与させようとした。報告を受けた長崎幸太郎知事が「宿泊療養施設は収容施設ではない」とたしなめる場面もあったという。

自治会長の訴え

 「私がコロナにかかったとして、汚いからここに来るなと言われたら悲しい。早く治って、家に帰れればいいですねと言われれば元気になるでしょう」

 9月16日に開かれた地元説明会で、ホテル南側の住民でつくる紅梅町自治会の会長、寺田和政さん(69)がそう訴えた。