浪速風

コロナも吹っ飛ぶ「玉手箱」

 煙が出たらどうしよう…とおっかなびっくり、「乙姫様の玉手箱」と伝わる漆塗りの立派な箱を開けて見せてもらったことがある。取材で訪ねた雪深い京都府伊根町の浦嶋神社。その箱は実のところ室町時代の玉(たま)櫛(くし)笥(げ)(化粧箱)で、中にはくしや化粧筆などが入っていた

 ▼高貴な女性の遺品が寄進されたものか、海のかなたにあると信じられた竜宮城へのあこがれもあっただろう。人間の好奇心や想像力は果てしない。小惑星のリュウグウから探査機「はやぶさ2」が玉手箱という名のカプセルを持ち帰った

 ▼中にたまったガスさえも分析されるそうだ。浴びて白髪になることはないだろうが、入っているものすべてが一種のタイムマシンのようなもの。もしかしたら太陽系の初期の成分が残っているかもしれず、生命の起源に迫ることもできるかもしれない。目に見えないウイルスにおびえた1年の最後に、大きな宇宙を展望できてなんだか少しほっとした。

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