食の王国いばらき

水戸「柔甘ねぎ」 優しい甘み、都内料亭も顧客

【食の王国いばらき】水戸「柔甘ねぎ」 優しい甘み、都内料亭も顧客
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 全国3位の農業産出額を誇る農業県の茨城。東京都中央卸売市場の青果物取扱高では16年連続全国1位をキープしており「日本の台所」といっても過言ではない。肥沃(ひよく)な大地のめぐみを受けた四季折々の県産食材について紹介する。(永井大輔)

 生でかじるとシャキッと噴き出す優しい甘み-。水戸市の特産品「柔甘(やわらか)ねぎ」は、辛味を抑えた柔らかな甘みが特徴だ。平成30年には地域独自の農林水産物・食品のブランドを保護する地理的表示(GI)保護制度にも登録され、近年は東京都内の有名料亭や大手飲食店からも取引の声がかかる。納豆や梅が注目される水戸市の隠れた名産品の一つでもある。

 柔甘ねぎは、白い部分が約40センチと、一般的なネギの約1・5倍も長い。柔らかく甘みがあり、辛味やえぐみが少ないことから、JA水戸の生産者たちは、生に近い食べ方をオススメしている。小口切りにしたネギをご飯に乗せ、おかかとしょうゆをかける食べ方が通好み。ピクルスやサラダ、表面をあぶった焼ネギなどがシャキシャキとした食感と甘みを楽しめる。

 JA水戸の水戸地区ねぎ生産部会長を務める園部優さん(64)は「少しずつだが、全国的にも魅力が伝わりつつある」と手応えを口にする。

 栽培は昭和56年に試験的に始まったが、生産コストが販売価格に見合わず中断した。平成8年に園部さんらが生産を再開し、試行錯誤を続け栽培技術を高めてきた。園部さんらは、平成10年ごろから中国産を筆頭に海外の野菜が増え始めたことから、安心安全でおいしいネギを追求することで差別化を図ったという。

 同部会で細かい生産マニュアルを作成し、肥料も指定されたものを使うように徹底。厳格な生産管理で高品質を維持し続け、平成30年には県内3例目のGI登録を受けた。その品質から、市場では一般的なネギに比べ約1・7倍の価格で取引されているという。

 GI登録や生産マニュアルの徹底、高価格での取引などで、若者の新規参入も促しやすい。部会に入れば、農業初心者でも細かい資料や現地での研修で作り方を詳細に習得できる。感覚で体得させるような古い教え方ではないため、若い人も取り組みやすいという。園部さんは「若い人が作ってくれることで長く作り続けられるネギになる」と継承に期待を込める。

 今後は地元での消費拡大も目指したいという園部さん。新型コロナウイルスの影響で大規模なPRイベントができない中、生産者らとともに、地元のスーパーで試食を行うなど地道な活動を進めている。

 園部さんは「地元の人にもっと食べていただきたい。私たちも期待に応えられるよう、さらなる品質向上に努める」と力を込めた。

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