5Gのフル活用は、すでに工場のロボットから始まっている

CHRISTOPH SCHMIDT/GETTY IMAGES
CHRISTOPH SCHMIDT/GETTY IMAGES

 5Gが最初に活用されるのは、一般家庭ではなく工場だ。すでに世界では、製造業や鉱業、配送業などで5Gによって工場をアップデートする取り組みが進んでいる。さらに今後、5GはAIとの併用でさらなる飛躍を遂げることになるだろう。

TEXT BY WILL KNIGHT

TRANSLATION BY MAYUMI HIRAI/GALILEO

WIRED(US)

次世代通信規格である5Gのアーリーアダプターは、「人類」ではなかったのかもしれない。

ドイツのバイエルン州にあるボッシュ・レックスロスの工場では、製造装置とロボットアームの間を車輪付きのロボットたちが動き回っている。このロボットたちに搭載されているのは、いまはまだ目新しい5Gモデムだ。

ボッシュの先進製造装置の販売部門は、5Gをゲームや映画の超高速ダウンロードにとどまらない将来の大きなトレンドになると考えている。そこで同社は新たなモジュール式の生産ラインを開発し、製造装置のあらゆる部品や高精度の電動工具を5Gにつなげたのだ。

5Gが最初に生きる「工場」

5Gについてスマートフォンのユーザーたちは、いまのところさほど興味を示していないように思える。だが一方で、一部の工場やオフィスビル、リモートオフィスなどからは、この技術に対する支持が集まりつつある。そして、これにはもっともな理由がある。

まず、5Gを使うことで、最大10Gbpsという現在のネットワークの約20倍にも相当する超高速なダウンロードが約束される。それゆえ、スマートフォンを始めとするモバイル機器で仮想現実(VR)を実現することも可能だ。

ただし、5Gの最速スピードが機能するのは一部の送信機においてのみであり、世界の多くの地域で通信キャリア各社がネットワークを構築するまでには時間がかかる。つまり、いまの段階では、5Gスマートフォンの性能にはバラつきとムラがあることになるのだ。その一方で、工場や倉庫内であれば、プライベートな無線ネットワークを使うことで受信範囲を保証できる。

さらに5Gでは、レイテンシー(遅延)も現在のネットワークの50ミリ秒前後から最短で1ミリ秒と、かなり改善される。加えて、高い信頼性や数千台の装置を一度に接続できる能力もついてくる。

ボッシュ・レックスロスの自動化・電動化部門でテクノロジーとイノベイションを担当するリーダーのギュンター・メイによると、ロボットなどの機器に高速な無線リンクを追加することにより、高精度な連係やキャリブレーション(調整)が可能になり、大きな損害につながる故障や稼働停止の予測に役立つという。さらに人工知能(AI)をはじめとする高度なソフトウェアを使うことで、機器の能力をさらに向上させることもできる。

ボッシュ・レックスロスが現在使用している5G対応ロボットはプロトタイプだが、同社は2021年中に顧客向けに展開する計画だ。

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