アフガン、中村医師殺害事件から1年 複数人の身柄拘束も…見えぬ犯人像

中村哲さん
中村哲さん

 【シンガポール=森浩】アフガニスタン東部で、農業支援に取り組んでいた福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師、中村哲さん=当時(73)=が殺害された事件から4日で1年が経過した。警察は事情を知るとみられる複数人の身柄を拘束して捜査を進めたが、実行犯特定には至っていない。真相解明には時間がかかる見通しだ。

 事件は昨年12月4日早朝、東部ナンガルハル州で発生。用水施設の工事現場に向かっていた中村さんの車を武装グループが襲撃し、銃撃を受けた中村さんが死亡。アフガン人ボディーガードら5人も命を落とした。

 武装グループは地域の民族衣装を着ており、話していた言葉などから地元かその近郊出身者とみられる。中村さんが手がけた用水路建設事業が、地元の水に関わる利権に触れたとの説もあるが、真相は不明だ。

 同州政府のコギャニ報道官は産経新聞の取材に「複数人を拘束して取り調べたが、武装グループにつながる有力な証拠はない」とコメント。中村さんの用水路が地域の農業生産を高めたことに触れ、「英雄の死を忘れない。犯人は必ず捕まえる」と強調した。

 ただ、国内ではイスラム原理主義勢力タリバンなどによるテロ攻撃が相次ぎ、治安の悪化に歯止めが掛からない。トランプ米政権が11月、駐留軍のさらなる削減を決めたことで武装勢力が勢いづくことも予想され、思うような捜査が展開できるかは不透明だ。