新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、大勢の人出が予想される初詣をめぐり、全国の神社が頭を悩ませている。「密」を作らないため、年内の参拝を呼び掛けたり、参道の露店の出店を取りやめたり。接近すれば鈴の音が鳴る装置で、安心を届ける神社もある。ウィズコロナで求められる参拝の形とは。(田中佐和)
今年の正月三が日、計約230万人が訪れた住吉大社(大阪市住吉区)。例年、初詣の時期は参道の両脇に300近くの露店が並ぶが、来年は全ての出店を取りやめる。境内への入場制限を行っているが、来年は密を避けるため「より厳しい制限が必要になるだろう」とする。
京都市東山区の八坂神社は、不特定多数が触れる場所の感染対策に神経をとがらせる。手や口を清める「手水舎」はひしゃくを撤去した上で流水式に。賽銭(さいせん)箱の上の鈴を鳴らす綱「鈴緒(すずのお)」は垂らさず結び、触れられないようにした。代わりに、賽銭箱に近づくと鈴の音が再生される装置を導入するなど、ハイテク参拝で安心を届ける。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、混雑する日時を避ける「分散参拝」を促している。
こうした中、正月三が日にこだわらない新たなスタイルを提案する神社もある。広島護国神社(広島市中区)は、初詣を12月に前倒しする「幸先詣(さいさきもうで)」を打ち出した。「幸先よく新年を迎えられるように」との願いを込め、12月13日から破魔矢や干支ものなどの授与を始める。潮(うしお)康史権宮司は「初詣は非常に『密』になるので、夏ごろから頭を痛めていた。安全にお参りしていただけるよう試行錯誤している」。