大阪、重症病床が逼迫 使用率7割迫り「赤信号」決断 - 産経ニュース

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大阪、重症病床が逼迫 使用率7割迫り「赤信号」決断

「医療非常事態宣言」を発令した吉村洋文知事=3日午後(安元雄太撮影)
「医療非常事態宣言」を発令した吉村洋文知事=3日午後(安元雄太撮影)

 大阪府が3日、緊急の新型コロナウイルス対策本部会議を開き、自粛要請の基準「大阪モデル」での非常事態(赤信号)への移行を前倒しで決めた背景には、府内で確保している重症病床が急速に逼迫(ひっぱく)した現状に加え、看護師ら専門スタッフの不足がある。目前に迫る医療崩壊を回避するため、府民らの行動を制限する方向にかじを切った。

 吉村洋文知事はこの日の対策本部会議後、過去3番目に多い427人の感染者が報告された2日の夜に赤信号点灯を決断したことを記者団に明らかにした。

 「200人まで下がったら別の判断があったかもしれないが、高い水準で徐々に下がる。早めに対応した方が社会経済に与える損失も少なくなると判断した」

 実際、府内の1日当たりの感染者は300~400人台で高止まりしている。重症者は10月19日の16人から11月24日に103人となり、100人を突破。12月3日に最多の136人に上り、1カ月半で8・5倍に急増した。同日の重症病床(206床)の使用率は66・0%で、赤信号の基準70%まで残り4ポイントに迫った。

 府は対策本部会議で、第1波と第2波の感染状況を踏まえ、感染のピーク時からおおむね15日後に重症者数が最多となり、約20日間にわたって入院が続く-との分析結果を示した。

 今月3日以降に1日当たりの感染者が366人から横ばいで推移した場合、8日に重症病床使用率が70%を超えるとの試算も提示。仮に現時点で感染のピークを迎えていたとしても、重症者の増加はすぐに収束しない-との見立てだ。府幹部は「これ以上、医療態勢に負荷がかからないよう、先手を打つ必要がある」と強調した。

 看護師ら医療スタッフの不足も深刻だ。大阪コロナ重症センター(大阪市住吉区)は第1期分として30床を用意したが、想定する看護師約130人のうち、確保できたのは現時点で50人にとどまる。府は全国知事会などに40人の派遣を要請し、残り40人は府内で確保するとしているが、どこまで集まるかは見通せない。

 日本大危機管理学部の福田充教授(リスクコミュニケーション)は「基準よりも前倒しにしたのは、危機感、切迫感の表れだろう」と分析。一方で「『恣意(しい)的な運用だ』という批判も出かねない。なぜ基準に満たない状態で移行する判断に至ったのかを丁寧に説明し、府民に納得してもらう必要がある」と述べた。