観光の島・対馬、「脱韓国観光客一本足」へ日本人誘客に本腰

観光の島・対馬、「脱韓国観光客一本足」へ日本人誘客に本腰
観光の島・対馬、「脱韓国観光客一本足」へ日本人誘客に本腰
その他の写真を見る (1/3枚)

 玄界灘に浮かぶ対馬は、北端の50キロ先に朝鮮半島を望み、古代から外交や国防の最前線を担ってきた国境の島だ。そんな島の経済は近年、激増した韓国人観光客による消費に支えられていたが、日韓関係の悪化や新型コロナウイルス感染拡大に伴う移動の制限で状況は一変した。このため長崎県対馬市や地元の観光関係者は島経済の発展を目指し、日本人客の誘客に乗り出している。(中村雅和)

■割安で対馬へ

 11月上旬、対馬の空の玄関口、対馬やまねこ空港と下対馬の拠点、厳(いず)原(はら)地区を結ぶ国道では観光客を乗せたとみられるバスが行き交っていた。同地区の土産店には旅行代理店の旗を手にしたスタッフの案内を受けながら、地場産品を物色する高齢者の姿が目立った。大阪府から訪れた無職男性(72)は「対馬には初めて来た。今は旅行が安いから。こんなときでないと来られないからね」と話した。

 「新型コロナでしんどいことは多かったけれど、国や県の支援で、対馬に日本人のお客さんが多く来てくれるようになったことだけは良かったことかな」

 同地区の老舗料理店の女将は、こうつぶやく。

 国の「Go To トラベル」や県などの支援策で旅行代金が割り引かれることもあり、対馬に日本人客が訪れるようになった。近年の対馬の姿と大きく異なる。

■韓国人客急減

 対馬市によると、市を訪れる韓国人観光客は平成22年の約6万人から急増し、30年には市人口(3万人)の10倍超に相当する約41万人になった。これは対馬全体の観光客数推計(約54万人)の75%程度で、経済効果は約90億円。市の一般会計予算の4分の1程度に迫る存在感だ。

会員限定記事会員サービス詳細