宇都宮のサーキット死亡事故 大会主催者を書類送検へ 

栃木県警本部=宇都宮市塙田(根本和哉撮影)
栃木県警本部=宇都宮市塙田(根本和哉撮影)

 宇都宮市高松町のサーキット場「日光サーキット」で平成28年11月、走行中の車から外れた前輪が直撃して女性が死亡した事故で、栃木県警が4日にも、業務上過失致死容疑で当時開催されていた大会の主催者を書類送検する方針を固めたことが、捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者によると、大会主催者の40代の男性は、コースと死亡した女性がいた場所の間に十分な高さの防護柵を設置していないなど、安全対策を怠った疑いが持たれている。事故をめぐっては、今年8月にも、車を運転していた40代の男性と整備担当の50代の男性が、前輪の安全確認を怠ったとして同容疑で書類送検されている。

 事故は平成28年11月20日に発生。当時、現場では車輪を滑らせながら走行する「ドリフト」の技を競う大会が開催されていた。練習走行中の車の前輪が外れ、コースから約20メートル離れた場所にいたピアノ講師の鈴木祥子さん=当時(35)、埼玉県本庄市=に直撃、その後死亡した。鈴木さんは事故車両とは別のチームのスタッフで、審査員のコメントを聞き、無線でドライバーに内容を伝える「スポッター」と呼ばれる役割だった。

■根強い自己責任論、ルール整備課題

 大会主催者の書類送検にまで及ぶことになった日光サーキットでのドリフト大会中の事故。関係者によると、危険が伴うモータースポーツでの事故については伝統的に「参加者の自己責任論」が根強いとされる。大会主催者が立件されるのは異例とみられ、県警が慎重な捜査を進めてきた。

 事故当時、死亡した「スポッター」役の女性の待機場所の前には、防護用の壁などが設置されていたが、壁の高さは約1メートル。結果として車から外れた前輪はこの壁を飛び越え、悲惨な事故につながった。

 捜査関係者によると、別のサーキットでは、スポッターの待機場所の前により高い防護柵が設けられている例があったという。さらに、県警は同様の競技を実施する別の大会関係者にも事情を聴いた上で、「安全対策としては不十分だった」と判断したとみられる。今回の事故を教訓としたルール整備など、再発防止に向けた動きが期待される。(根本和哉)