市民守る 防火衣に感じた命の重み 消防隊員の訓練 記者が体験

市民守る 防火衣に感じた命の重み 消防隊員の訓練 記者が体験
市民守る 防火衣に感じた命の重み 消防隊員の訓練 記者が体験
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 消防隊員は昼夜を問わず危険と隣り合わせの出動現場に立ち、われわれ市民の生命と財産を守っている。一刻を争う過酷な状況でも冷静な判断を下せるのは、あらゆる事態に対応できるよう、常日頃、厳しい訓練を積み重ねているからこそ。災害や事件事故を取材する記者として、隊員たちのプロ意識や出動現場の感覚に迫ろうと、このほど消防施設で行われた活動体験に参加した。味わったのは、身体にずっしりとのしかかった防火衣ににじむ命の重さだった。(王美慧)

 11月中旬、向かった先は東京都渋谷区の東京消防庁消防学校。基礎体力向上のトレーニングをはじめ、さまざまな場所で起こる火災を想定した消火活動や救助など実践的な訓練ができる設備が備わっており、新任消防隊員たちは、この場所で基礎をたたきこまれるという。

コロナ禍の救命

 最初に教わったのは、事故現場などに居合わせた人が、救急隊や医師に引き継ぐまでに行う心臓マッサージなどの応急手当て。「30回連続で圧迫」「1分間110回のリズムで」「胸が5センチ沈み込む程度に」…。教官のアドバイスに耳を傾けながら人形の胸に両手を重ね、胸を垂直に圧迫する。想像以上に力が必要で動作も激しく、数分で息が上がる。

 運転免許を取得するときに応急処置を学び、なんとなく理解していたつもりだった。しかし、緊迫した場面に遭遇したとき、冷静に対応できるだろうかと不安がもたげた。「日頃から意識を高めておくことが大切なのだ」と教わった。

 実際の応急処置としては心臓マッサージに加え、人工呼吸が必要となる場合もあるが、新型コロナウイルスの感染拡大で、厚生労働省が成人に人工呼吸を行わないなどとする市民向けの指針を作成。公表した。

 この指針に対し、教官は「目の前の傷病者の救命が第一であるのと同時に、ウイルスの媒介を防ぐ必要もある。感染防止と救命処置を両立するのは難しい」と話す。ただ人工呼吸を行わないことで、必ずしも救命率が低下するとはかぎらないという。