吉川元農水相に現金500万円か 鶏卵大手元代表「違法性を認識」  収支報告書記載なし 

吉川貴盛元農水相
吉川貴盛元農水相

 鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)のグループ元代表(87)が鶏卵業界に便宜を図ってもらう目的で、元農林水産相の吉川貴盛衆院議員(70)=自民、北海道2区=に大臣在任中、複数回にわたり現金計500万円を提供した疑いのあることが、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部も把握しており、元代表らアキタ社の関係者を任意聴取するなどして、捜査を進めているもようだ。

 関係者によると、元代表は平成30年10月~昨年9月の吉川氏の大臣在任中、複数回に分けて計500万円を渡したという。吉川氏の関連団体の政治資金収支報告書には、この期間に元代表側から献金を受け取った記載はなかった。元代表が特捜部の聴取に現金提供を認め「違法という認識があった」と供述していることも判明した。

 元代表は業界団体「日本養鶏協会」で副会長や特別顧問を務めるなど、長年に渡り業界のリーダーとして、政治家や農水省の官僚に多く接触していた。吉川氏の他にも、農水族議員らに現金を配布した疑いがあるという。

 関係者によると、元代表は、家畜にとってストレスの少ない飼育環境を目指す「アニマルウェルフェア」(AW)や、鶏卵の取引価格が基準を下回った場合に差額の9割が補填(ほてん)されるなどする「鶏卵生産者経営安定対策事業」をめぐり、政治家や農水省の官僚に実情を訴えるなどしていた。

 吉川氏は北海道議を経て平成8年の衆院選で初当選し、現在6期目。北海道開発政務次官や農水副大臣などを歴任し、30年10月~昨年9月に農水相を務めた。

 吉川氏は2日、事務所を通じて発表したコメントで不整脈で入院中と説明し、「ご心配をかけていることをお詫び申し上げる。当局から説明を求められれば、現在入院治療中だが、誠実に対応する」とした。