外国資本による安全保障上重要な土地買収などをめぐり、自民党の「安全保障と土地法制に関する特命委員会」(新藤義孝委員長)の提言案が1日、判明した。土地の所有者を一元的に把握する態勢を整えるため、管轄が複数の省庁にまたがる土地関連台帳に記載される情報を標準化し、一元的なデータベースを整備することが柱。政府には、関係閣僚会議の設置や関連法案を来年1月召集の通常国会に提出することなどを求めている。
土地利用の実態を把握するための手段は、不動産登記簿や固定資産課税台帳、農地基本台帳、森林調査簿などがある。ただ、登記簿は更新が任意で、実態を必ずしも反映していない。森林と農地は地方自治体への事後届け出が義務化されたものの、調査は自治体に委ねられる。自治体が管理する住民票は国籍記入が必要だが、登記簿や森林調査簿にはひもづいていない。
このため、提言では「安全保障の観点からは、いかなる者が土地を保有しているかを確実に把握することが必要だ」と指摘。関連法案が定める基本方針として、(1)所有者が不明な土地を利用しやすくする(2)土地関連台帳の充実(3)土地保有に関する情報連携や国民への開示-の3つを掲げた。
政府には、防衛施設周辺に加え、国境に隣接する離島や重要インフラ施設の周辺など、安全保障上重要な土地を対象に、国籍を含めた所有者情報の収集や、調査などを徹底するよう要請した。安保上懸念がある場合は、過度な私権制限にならないよう留意しつつ、該当する土地の利用や取得を制限できる仕組みの創設も求めた。